• "結婚経験"(/)
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  1. 富山県議会 1994-09-01
    平成6年9月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午前10時08分開議 沼田委員長 ただいまから本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。       堂故委員の質疑及び答弁 2 沼田委員長 堂故委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 堂故委員 おはようございます。食べ物と健康について少し質問さしていただきたいと思います。  今度の議会では、健康問題あるいは健康についてという質問が少し多かったように思います。知事には、中尾議員との質問のやりとりの中で、来春選挙を控えた議員の健康について迫力を込めて心配していただきました。議員のほうも健康に少し心配があるんじゃないか。ただ、選挙前になると急に元気になられる方もおられるようであります。  先ごろ発表されました平成5年度の簡易生命表によりますと、日本人の平均寿命はさらに伸びまして男性が76.25歳、女性が82.51歳と世界最長寿を更新したというニュースでありました。このまま推移してさらに福祉が充実されていく中で長寿社会、成熟社会を迎えられるとすれば、片方で少子化という問題を抱えながらも、社会全体としては幸福な社会に一歩ずつ近づいていけるんじゃないかと思うわけですけれども、ただ、今の寿命を更新している70代、80代の方々というのは、もうすぐ終戦50周年を迎えますけれども、戦前の貧しい中を常におなかをへらして厳しい環境の中を生き抜いてこられた方々でありまして、そういう方々が戦争から解放され、伝染病の克服、医学の進歩をはじめ、経済発展の恩恵を受けての結果ではないかと思います。知事はじめ、戦中戦後派も多分しぶとく生き抜いて長寿を更新していかれるんじゃないかと思います。  ただ、戦後豊かな社会で育ったはずの年代というのは、多分私も皆さんも感じておられると思うんですけれども、そんな生命力というかたくましさが感じられないわけです。飽食の時代といわれる中、相撲取りは短命を、社会の全体とは言いませんが、何か一部で実践しているんじゃないかというような気さえしてまいります。過労死、そして突然死が言われるぐらいストレス社会の上に、インスタント食品、食品添加物、清涼飲料水あるいはPCBの流出といったものの出現や、長年日本人が食べてきたものと違うような肉食はじめ食生活の構造的な変化、あるいは昔食べた卵と今のホウレンソウなど、食品に質的な変化を感じるこのごろなんです。そういう中に子供たちの一番大事な成長過程がさらされているんじゃないか。そういうことだけではないと思いますけれども、そういう食べ物の出現が、かつてなかった病気の出現だとか、あるいは基礎体力が落ちているとか、幅跳びやブリッジをすればすぐ骨折してしまう子供が多いとかという原因になっているんじゃないか。ひいては、今教育で問題になっております心のひずみということにも影響しているんじゃないかなと考えてしまうわけです。  食べ物を中心とする社会の変化が、子供に特に凝縮してあらわれているんじゃないか。そういうことを思いながら、まず、教育長に教育の現場から子供の体の変化の実態といったものを数字を交えながらお聞かせいただきたいと思います。 4 吉枝教育長 日本体育学校健康センターが行っております学校安全統計によりますと、平成5年度の本県の骨折発生件数状況でございますが、20年前の昭和49年度に比べ、小学生で39.6%、それから中学生で58.3%、高校生で49.4%増加しております。  それから、県の教育委員会が行っております学校保健統計によりますと、昭和49年度と平成5年度の児童生徒の健康状態を比較しますと、肥満傾向につきましては、小学生で2.5%から6.2%に増えておる。中学生は2.0%から5.0%に、それから高校生では0.1%から1.8%と増加しております。また、心臓疾患異常だとかあるいはぜんそくなどの増加、またアトピーとかアレルギー疾患等の発生も少々ながら見られるところでございます。  それから子供の基礎体力につきましては、県教育委員会が行っております体力診断テストによると、昭和57年度と平成4年度の約10年間を比較してみますと、総合的な評価ではさほど低下は見られないわけでございますが、立位体前屈という立ったまま前かがみになって床に手をつけて柔軟性を見る項目につきましては、小学生で10%、中学生で25%、高校生で20%の低下が見られるところでございます。 5 堂故委員 今の数字を聞かさしていただきますと、特に骨が弱くなっているのかなということを実感します。  そういうことを考えてみますと、豊かになったとはいえ食生活の変化やストレス社会の到来といったものは、今の子供たちにとって新たな試練の社会なのかなと思ってしまいます。しかし、21世紀の富山県を担ってくれるのは、もちろんこういった子供たちなわけで、健やかに育ってほしいなと心から願うものです。  先ほどもちょっと教育長のお話にありましたけれども、最近アレルギー体質の小中学生が増えている。報道によりますと、病気が全部発生するとは限りませんけれども、中1で44%という調査結果だそうであります。私たちが子供のころに、アトピー性皮膚炎なんという言葉はほとんど聞かなかったわけですけれども、原因としては、ストレスであったり衣類であったりダニであったり食生活であったり多岐にわたっているようです。お母さん方の中には育児ノイローゼになってしまうという方々も耳にしますし、先日テレビで、京都に住む親子が悩んだあげく北海道へ移住して病気と闘っているというのも見たりしました。どこで治るのかというのもちょっとわかりません。かゆいところを治すだけなら対症療法としていろいろあるでしょうけれども、体質改善を含めての対応が求められるんじゃないかなと思います。  岐阜県では、医師や保健婦、栄養士さんたちが、そういった観点からチームを組んで専門窓口を設置しているとお聞きいたしております。県としても、そのような専門窓口、相談窓口を設置してはどうかと思うわけですが、厚生部長にお伺いしたいと思います。 6 三觜厚生部長 アトピー性疾患についてのお尋ねでございますが、委員御指摘のように乳幼児に多い慢性疾患で、全国的にもやや増加の傾向にあると言われているものであります。また、このアトピー性疾患が若い母親の育児不安の要因の一つにもなっておりまして、国が平成4年に実施いたしましたアトピー性皮膚炎の実態調査によりますと、1歳6カ月児の健診で全体の5.3%、3歳児の健診で8%の者にアトピー性皮膚炎が見られております。国はこの調査結果を踏まえまして、ことしの3月に診断基準なども含めました生活指導マニュアルを示したところであります。
     本県におきましても、乳幼児健診などでアトピー性皮膚炎に代表されます皮膚疾患が最も多く見られているところでありまして、平成5年度の健診結果で見てみますと、1歳6カ月児健診で5.5%、3歳児健診で5.9%という実態になっております。このアトピー性皮膚炎の症状を引き起こす要因をアレルゲンと呼んでいるわけでございますが、委員も御指摘のようにダニとかカビなどの居住環境の問題とか、牛乳とか卵とかといった特定のたんぱく質などによって起こされるとも考えられておりまして、このアトピー性疾患の予防や治療につきましては、これらのアレルゲンの改善やその除去が有効とされております。  本県におきましても、これまで乳幼児健診の機会をとらえまして、アトピー性疾患の相談とか保健指導を行ってきているところでありますが、今後はアトピー性皮膚炎に対しましてより適切に対応していくために、厚生省の出しました生活指導マニュアルを参考に、医学的管理のもとに生活に即した保健指導や栄養指導をあわせて行っていくことが必要と考えております。御提言の専門・相談窓口の設置などにつきましても、今後検討してまいりたいと考えております。 7 堂故委員 先ほど申しましたように親御さんの御苦労は大変なものなんで、ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。  先日の新聞によりますと、高岡市で小児成人病発見のための小学生を対象にした予防健診を実施するという報道がありました。小学生にとは思いますけれども、最近の学校保健統計によると、肥満児の数はここ20年間に2倍から3倍、また総務庁の調査によりますと、高コレステロール、高血圧の子供が増えているとのことであります。県内の児童生徒における肥満、糖尿病、心臓疾患などいわゆる小児成人病の状況を聞かせていただきたいと思います。  あわせまして、高岡市を例にとりましたが、学校保健法に加えてきめ細かく学童の健康管理を各学校に普及する考えはないか、教育長にお尋ねしたいと思います。 8 吉枝教育長 小児成人病と申しますのは、将来糖尿病とか心臓病、脳血管疾患等の成人病になる危険因子を持っている児童生徒の状況を指すものであるわけでございますが、現在、定期健康診断におきましてこれに関連するものとして、肥満傾向、尿糖検査、それから心電図検査をやっておるところでございます。  平成5年度の検査結果では、肥満傾向の割合はさきにも述べましたとおり、小・中学生で5%から6%、高校生で2%でありました。また尿糖検査では、小・中・高校生のそれぞれ0.2%から糖が検出されております。さらに心電図検査等では、小・中・高校生で1%前後の心臓疾患異常が見られます。これらの児童生徒に対しましては、学校医の指導のもとに学校と家庭が連携をとりながら食生活の改善や日常の生活習慣等についての個別指導を行っておるところでございます。  また、高岡市のように定期健康診断項目に検査項目を加えることにつきましては、本年3月に文部省に提出されました学校健康診断調査研究委員会の結果報告書によりますと、高血圧とか高脂血症──これは血液中のコレステロールの値が高い症状でございますが、こういうものなどの検査項目は、定期検査項目に加えるよりは日常観察で取り上げるほうが望ましいとされておるところでございますが、現在、県の教育委員会では、富山県学校健康診断等研究委員会において検討していただいているところでございますので、この成果を踏まえまして対応してまいりたいと考えております。 9 堂故委員 子供たちがバランスのとれた栄養をとるとか食の文化を経験してはぐくむなんというのは、本来、もちろん家庭の仕事だと思います。大変食事に気配りしていらっしゃる家庭も多く見受けられます。ただ、大体最近は共働きでありまして、前は「おふくろの味」と言いましたけれども、最近は「インスタントメーカーの味」なんて言われるぐらいに、残念ながら家庭の力がそういう食生活の面で弱くなっている部分があるのかなと思います。  僕らのときは給食といいますと、給食の合間に脱脂粉乳をいただいたりして栄養補給なんていうことがメーンだったと思いますけれども、今は、バランスのとれた栄養とか食事の大切さとか、食の文化という面でも学校給食が大事な面を持ってきているんじゃないかなと思います。  食事時間の確保などを含めて、学校給食の望ましいあり方についてお聞かせいただきたいと思います。 10 吉枝教育長 文部省では、給食時間が短過ぎると学校給食の意義が半減してしまうことから、児童が落ちついて食事ができ、人間関係を深めることができるような適切な給食の時間を設定することが望ましいとしておるところでございます。具体的な時間としましては、これまでの研究指定校等の実績を見ますと、準備から後片づけが終わるまでの時間は、大体小学校で50分程度、それから中学校では45分程度が望ましいとされております。  県の教育委員会としましても、バランスのとれた栄養の摂取、それから望ましい食習慣の形成等を図るために、文部省の示した時間を目途としまして各学校において定めるよう指導してきておるところでございますが、今後ともゆとりのある給食時間が設定されるように指導してまいりたいと考えております。 11 堂故委員 あわせまして、小児糖尿病、慢性の腎疾患、アレルギー疾患などの、治療しながら学校生活を送っている子供を持つ親御さんの苦労話を聞くわけです。このような病気を持った子供たちに対する学校給食での配慮についてお聞かせいただきたいと思います。 12 吉枝教育長 御指摘のありました病気を持つ児童生徒の健康の管理につきましては、病状の的確な把握とこれを踏まえた日常の観察、指導が重要であると考えております。このため、就学時等の保護者への健康調査やあるいは定期健康診断におきまして病気の把握を行いますとともに、家庭や校医、主治医等と緊密な連携をとって、学習をはじめ食事や運動などの面で児童生徒の肉体的、精神的負担が過大にならないように留意をしておるところでございます。  給食につきましても、特定の物質にアレルギーを持つ児童生徒や小児糖尿病や慢性の腎疾患などの病気を持っておる者のため、減塩などの食事療法の必要な児童生徒につきましては、弁当の持参だとか、あるいは摂取することが不適当な材料を使用した献立の除去を行っておるところでございます。 13 堂故委員 食生活というのは大事なわけで、現在、氷見市の食生活改善推進協議会は、その会員が400人でありまして、環境に対するやさしい料理教室であるとか、栄養の知識を楽しみながら理解していただくため、栄養運動会というようなものを行っています。また、長野県では愛の食卓運動として、食事づくり体験セミナーを実施していると聞いています。  このように、地に足を据えた食生活の改善に向けてのユニークな事業について、県の食改協はどのような活動をして、また県はその食改協をどう育成し、指導していこうとしていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。 14 三觜厚生部長 県食生活改善推進連絡協議会は、本県の健康づくりの専門的な知識と技術を持った指導者として位置づけられておりまして、健康づくりの推進の担い手となるように、地域における健康づくりのボランティアやその組織の活動に大きく負うところが多いと考えておりまして、富山県の食生活改善推進連絡協議会は、「私たちの健康は私たちの手で」を目標に、正しい食生活の知識を学び合いながら地域住民の健康の保持増進を図るボランティア団体として昭和47年に結成されました。全市町村に単位協議会を持ちまして、推進員数は本年6月現在で4,692名となっております。全国的に比較いたしましても高い組織率を誇っており、活発な活動を行っていると考えております。  本協議会の具体的な活動といたしましては、健康づくりのために、まず各地域において栄養改善のための講習会、母と子の料理教室、わが家の食卓コンクールなどの開催を行っております。2つ目に、啓発普及のための機関誌や郷土料理を紹介する冊子「いきいきとやまの味」及びヘルシーメニュー集といたしまして「おいしい和」の発行を行っております。3つ目に、健康づくりのため歩くことをテーマとした歩行マップの作成などを行っているところであります。さらに平成5年度からは、食と運動のバランスのとれた生活習慣を定着させるために、実際に歩くことと調理実習を結びつけたヘルシーアップセミナーを開催するなど、それぞれの地域において食生活改善を中心に献身的な幅広い健康づくりを展開しているところであります。  県といたしましても、この協議会は、本県の健康づくり施策の推進に保健所と市町村が実施する数々の健康づくり事業に率先して協力するなど、多大の貢献をしていると考えております。地域に根ざした健康づくりについて、今後とも十分にこの団体と連携をとりまして積極的に支援して、日本一の健康県を目指した県民総ぐるみによる健康づくり運動を展開してまいりたいと考えております。 15 堂故委員 ただ、食改協の存在さえ知らない県民はたくさんいらっしゃると思うんです。普及啓発活動についてお尋ねしますけど、正しい食生活、そして安全な食べ物が健全な体や心をつくるというのはもちろんのことであります。しかし、現在の食べ物の情報というのは、安全性という客観、人々の安心感という何か主観的なものが入りまじった情報として混然としているんじゃないか。数千年にわたる私たちの日本人の食生活がここ二、三十年で多分大きく変化しているときだろうと思うんです。  先ほど申し上げましたけれども、国内で生産される野菜はじめ農産物は、見かけの美しさとは裏腹に質的に大きな変化をしてきている。一つ一つの食品については添加物、防腐剤が入っているとはいえ食品衛生法をクリアしているわけで、農薬についても安全基準がもちろん歯どめになっているわけですけれども、しかしそれらを長期間にまぜ合わせて摂取すると人体にどんな影響があるのか、恐らく実証されてないという不安があります。これからは、ますます増えてくるだろう輸入食品の安全性への不安とか、バイオテクノロジーによる生産物への不安、そんなものが混然となっている社会になるんじゃないか。  何で私が、きょうこういった食品の質問をしようと思ったかというと、私ごとになりますが、私の家内が七、八年アレルギー体質で大変極端にひどい状態でありまして、いろんなお医者さんにかかりまして、対症療法としては1カ所治るんですけれども、必ず副作用が出てきて、そういう時期が七、八年続きまして、どうにもならなくて体質改善──自然のものを食べてみるということに徹底したわけです。それからここ二、三年で本当の健康を取り戻しました。恐らく現代病としてそういう悩みを持っておられる方はたくさんおられるんじゃないかなと思うわけです。  もちろん、健康というのは自分の健康は自分で守るというのが基本であり原則だと思うんです。ただし、先ほど言いましたように、こんな複雑な社会ですから限度がありまして、一般的にはほとんど生兵法で、誇大な健康食品に飛びつくというのは通常のことじゃないかなと思うわけです。今ほど言いましたように、食改協の存在さえあまり知られていないというような状況でもあります。もっともっと育てていただくと同時に、県としても、県民の健康づくりのために正しい食生活に関する情報を総合的に、長期的に普及啓発していってほしいなと思うわけです。御所見を承りたいと思います。 16 三觜厚生部長 食生活に関する広報、普及等についてのお尋ねでございますが、現在、健康にとって好ましい食習慣や栄養についての情報を県民に提供するために、食生活のための広報といたしましては県の健康ニュース「お元気ですか」や県の食生活改善推進連絡会議による機関誌「いきいき食生活」の発行、さらには市町村における広報誌や単位協議会での機関誌の発行などを行って普及啓発に努めているところであります。さらに、市町村の各種栄養教室健康フェスティバルなどのイベントなどにおけるパンフレットの配布などを通じまして情報提供を行っているところでございます。さらに、バランスのとれた食生活を送ることは、習慣として各自が毎日の積み重ねによりまして身につけることが非常に大切であります。  したがいまして、保健所とか市町村におきます栄養教室、栄養指導の実施、あるいは健康増進車による巡回指導の実施などを通じまして指導を行っております。さらに、地域における食生活改善推進員の活動などのボランティア活動を通じまして、長期的な健康により食習慣づくりのための実践指導を現在行っておりますが、さらにこれの充実に努めてまいりたいと考えております。 17 堂故委員 ちょっと質問の出し方が悪かったんでかみ合わないところもあったんですけれども、総合的、長期的な視野に立ってまた普及啓発をよろしくお願いしたいと思います。  次に、食生活のアンバランスや運動不足の影響から、このごろ骨粗鬆症が婦人層の話題となっているようであります。御案内のとおり、骨粗鬆症は骨からカルシウムが抜けて骨がすかすかになる病気であります。こういう病気は、本によりますと100年ほど前から知られていたわけですけれども、高齢化社会になり、今後ますます増加し、ねたきりや骨折の原因になると記載されています。  この骨粗鬆症は、若い時代からの予防が重要であると聞いておりいます。市町村と一体となって予防策をどのように講じられていくのかお伺いしたいと思います。 18 三觜厚生部長 現在、骨粗鬆症の予防に関しましては、保健所においては健康運動習慣普及講習会各種栄養相談、栄養指導や健康増進車の巡回指導を実施しております。また、市町村におきましては栄養教室などの各種事業並びに老人保健事業の重点教育として骨粗鬆症の予防教育を行っております。日常生活において十分にカルシウムやビタミンDを摂取するとともに、適度な運動や日光浴をすることを中心に普及啓発を行ってきております。  国においては今年度から、市町村が家庭の主婦や自営業の婦人を対象に実施している婦人の健康診査事業におきまして骨密度の測定を行い、その結果により、必要のある者に対しまして食生活の改善や運動の指導を行うことを内容といたします骨粗鬆症検診事業を開始しておりまして、県内におきましては、この秋から3町村、大島町、平村、上平村で実施が予定されております。  県といたしましては、この事業の基盤整備のために今年度新たに医師、保健婦、栄養士等保健医療従事者を対象に骨粗鬆症に関する疫学、予防、診断、治療などの専門的な研修を実施することにいたしておりまして、衛生研究所におきましても骨粗鬆症の発生要因に関する疫学研究などを行っているところであります。また御指摘のように、若い時代からの予防が重要であるため、保健所、市町村はもとより、地域に根ざした活動を進めている健康づくりボランティアとしての食生活改善推進員によります普及啓発をさらに進めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、骨粗鬆症の問題は、高齢化社会を迎えますます重要になってくると考えておりまして、今後ともさらに健康教育の充実を図り、骨粗鬆症の予防の普及啓発に努めるとともに、保健医療従事者の研修などの基盤整備を進め、市町村において積極的に取り組まれるよう、県と市町村が十分連携して予防策を講じてまいりたいと考えております。 19 堂故委員 長寿社会になりまして、老人保健施設などで生活されている方も最近はたくさん増えてまいりました。ねたきりにならないためにも施設でどのように栄養面について指導、配慮なされているのか、あわせてお聞きしたいと思います。 20 三觜厚生部長 老人保健施設につきましては、この施設の性格は病院から家庭へ復帰するためのかけ橋となる重要な施設であります。入所されてこられました高齢者がねたきりにならないことはもとより、少しでも日常生活において自立できるようその処遇に努めているところでありますが、例えば筋力を回復させたり、あるいは低下させないようにするための理学療法士や作業療法士による機能訓練の実施や、寝かせきりにならないようベッドから車いすへの誘導、食事の際の個室から食堂への誘導、あるいはトイレへの誘導など、毎日の日常的な介護を通じまして、入所されている方々の日常生活動作能力の維持回復に努めているところであります。また、栄養面からは入所されている方々の必要な栄養基準量を確保するとともに、その好き嫌いにも十分配慮した食事を提供するように努めているところであります。  いずれにいたしましても、県としては、老人保健施設が高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すという機能を十分果たせるよう、今後ともあらゆる機会をとらえて指導をしてまいりたいと考えております。 21 堂故委員 この質問の最後に、知事の御感想をお伺いしたいと思います。  飽食の時代といわれるぐらい豊かな時代です。昨年は長雨で米の不作でありまして、国内産米を買う長蛇の列が見受けられました。しかし、その間も一向に変わらず、家庭やさまざまな会合を見ていましたら、食べるものを惜しげもなく捨てている姿は変わりませんでした。日本の米の生産──農家の皆さんが額に汗して生産する量が1,000万トン。先日も統計的な話を聞きましたら、食べ物を食べないで国内で捨て去る量もまた合わせて1,000万トン。そんなような話を聞いてびっくりするわけです。豊かさという中で物と心がどんどん離れていって、食べ物に対してもどんどん無頓着な社会になっているのかなと、ひょっとしたら罰が当たるんじゃないかなと思うわけです。  昨年輸入されたタイ米もほとんど食べないで残ってしまう。グルメを否定するものじゃありませんけれども、おいしいものも知っているけれども、タイ米もおいしいと思っていただけるということが本当の豊かさじゃないかなと思うんです。飽食の時代といわれる中、健康に生きる、そして食べるということについて、知事の御感想をお聞かせいただきたいと思います。 22 中沖知事 生涯を通じまして心身ともに健やかで安らぎのある生活を送ることはすべての県民の願いであり、日常生活におきまして自分の健康は自分で守り、つくるという健康的な生活習慣をつくっていくことが重要であると考えております。  健康であるためには、御案内のように、バランスのよい食事を適量にとること、それから自分に適した運動を継続すること、それから睡眠などの休養を十分にとること、この3つのことが極めて重要であります。殊に食事につきましては、過食をして肥え過ぎないようにすることや偏食をしないようにすることなどが大事でありまして、特にこれからの世代を担う子供たちには、望ましい食習慣を身につけてもらいたいというふうに思います。食というのは、やはり健康づくりのみならず、家庭づくりや文化の形成にも深いかかわりを持ち、人間生活の基本であると考えるからであります。  それから、現代は自分の好きな物を好きなだけ、どこでもいつでも食べられるという飽食の時代といわれておりますが、私もこのような状況は決して望ましいものではないと考えております。世界には、飢えで苦しんでおる人たちも多いわけであります。私たちも戦争中の食生活の苦しさを十分味わってまいりました。そういうことから考えましても、特に若い世代の皆さん方に食べ物を大切にする心、それから食べ物に対する感謝の気持ちをはぐくむことが大切であるというように考えます。  いずれにいたしましても、本来の健康や食事のあり方につきまして、みんながこの際見つめ直すことが必要ではないか、非常にそのことが大事であるということを痛感いたしております。 23 堂故委員 次に、中山間地域対策について幾つか質問さしていただきたいと思います。  昨年の長雨、ことしの渇水という状況から中山間地域が注目されておる。単に、少数の皆さん、弱者救済という発想じゃなくて、水や空気という面から町部、都市部の生活を担保してくれる。あるいは食べ物をはじめ生活様式、守るべき心のふるさとともいうべき地域だと思います。  現代人が最低の生活をしていくうえで、電気、ガス、水道そしてテレビは必要である。私は氷見に住んでいますから氷見をイメージして言うんですけれども、電気やガスはプロパンガスもありますから完備してますけれども、氷見地域においては水道の普及率もまだまだでありますし、希望している地域も多くあります。また、県と市が中心になりましてテレビの難視聴地区というのにも毎年事業を手がけていただいておりますけれども、はっきりテレビさえ映らない文化に置かれている地域なんというのはあってはならないことかなと思うわけで、そのへんの努力もお願いしたい。また、過疎化をまとめるとか中山間地の道路を整備するとか、あるいはことし公共交通のモデル地区にさしていただきまして、交通弱者の救済あるいは公共交通を守っていくというような事業にも取り組んでいただいております。あわせて、農業や林業の振興以外にも、今言いましたようなたくさんの施策が必要なのかな、庁内横断的な発想や柔軟な発想が必要なのかなと思います。  幸い、庁内に農業農村対策連絡会議、そして中山間地域対策プロジェクトチームが設置されているとお聞きしております。どんなような方針で施策を進めておられるのか、手短にお話しいただきたいと思います。 24 堀田農林水産部長 中山間地域の条件不利益な地域につきまして、農林水産業の振興はもとより、農林業や地域社会の活力低下による国土・環境の保全機能の低下などが懸念されるために、そのほかまた、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意による影響等も考えまして、農業農村対策連絡会議におきまして中山間地域対策を重点項目としていろいろ検討を進めているところでございます。まずその中で、国に対しまして、国土保全など公益的機能の維持増進の観点からも、公的機関による関与や支援の拡充などを含む総合的な農林業の振興施策を講じるよう求めておるところでございます。  また、政府におきましては、今月末にもこのガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の関連対策骨子が発表されるところでございますが、その中では、特に農業総生産の意欲ある農家については、現在250万から400万程度まで、それからまた、農協による農産物の加工販売促進により、中山間地域における販売額を2,000億から4,000億まで拡大をすると、また、都市に比べて立ちおくれておる生活環境基盤、特に下水道等については現在の11%を平成12年までに5割までに上げるというような中山間地域の振興に関する基本目標を設定し、これを実現するために今後6年間に集中的、計画的にこれを実施するということが言われてきております。  今後、中山間地域が農林水産省のみならず他省庁にもまたがり広範に施策が実施されることから、中山間地域対策プロジェクトチーム──これは庁内のものでございますが──とも密接な連携を図りながら、農業農村対策連絡会議においても政府の基本目標や関連対策を見きわめ、農林業振興対策を中心に県単独の対策も含めて、総合的な県内対策の実施に向けて、さらに検討を進めていきたいと考えております。 25 岡本総務部長 お尋ねのうち、中山間地域対策プロジェクトチームの点についてお答え申し上げます。  この地域の活性化の必要性につきましては、今お話のとおりでございまして、1つには農林業の振興、ただそれに終わりませず、農林業の振興以外の観点からの振興が必要でございますので、庁内のほぼ全部局を網羅いたしました関係部局から成る中山間地域対策プロジェクトチームを9月1日に発足をさせましたところでございます。  このプロジェクトチームでは、今申し上げました農林業の振興と、それから農林業以外の振興というものをあわせ考えることといたしまして、今農水部長からお答えしました農業農村対策連絡会議と連携しながら、まず現在、県内の中山間地域の人口動態、生活環境状況の現状と課題、現行施策の体系等について調査検討を進めているところでございます。  今後はこの現状と課題を踏まえまして、2つの柱をもとに農林水産業などの産業基盤の整備、下水道等の生活環境基盤の整備、観光レクリエーション、地域文化の振興など中山間地域の活性化のための施策を幅広く検討していくことといたしております。当然、この問題は本県のみで解決できるものではございません。現在検討が進められております国の施策も十分見きわめつつ検討したいと考えておりますが、まずは今年度中を目途に中間的な取りまとめを行いたいと考えております。 26 堂故委員 低農薬有機栽培がその方策の一つとしてあると思うんです。先ほどの食品の話の続きにもなるんですけれども、新聞に、「病院や学校の栄養士さんたちが困っている。食品の栄養は、科学技術庁が発行している日本食品標準成分表に基づいてカロリーやビタミンの成分を計算するが、栄養不足の野菜が多く、成分のデータ表どおりでは患者や児童の健康を損なう。その裏に、甘さやおいしさを求めて品種改良や温室栽培などでつくられた野菜が栄養を喪失してしまった実態がある」というような報道がありました。  先日、NHKを見ておりましたらホウレンソウの番組をやっていました。昔に比べて今のホウレンソウは、毒性を持っている蓚酸の量は変わらないけれども、ビタミンが3分の1になってしまっている。見た目は悪いが、有機栽培で昔のホウレンソウに近いものを生産している農家を紹介した番組を見ました。顔の見える低農薬有機栽培が一部で人気になってますし、これから都市との交流といった面でも重要になってくるんじゃないかなと思います。  そこで、中山間地域対策として、コスト高であっても低農薬有機栽培を思い切って戦略的に導入して産地化してみればどうか。そういったようなことも思いつくわけですけれども、堀田部長のお考えを聞かせていただきたいと思います。 27 堀田農林水産部長 現在、県内の中山間地域におきましては、特別表示米や特別栽培米などの低農薬有機米の生産や、一部の農家においては野菜などの低農薬有機栽培が取り組まれているところでございます。しかし、これらの生産に当たりましては、御指摘のように有機質資材の散布や除草等の労力負担が大きいこと、それからまた、病虫害や雑草の発生が多く、収量・品質が不安定であること、それからまた、さらに消費者の評価を得て有利に販売できる販路を確保しなければならないなどの課題を抱えておりまして、県内に広く普及するという状況までには現在至っておりません。  しかし、中山間地域農業の振興を図るためには、中山間地特有の夏季の冷涼で日温格差の大きい気象条件等の有利性を生かした水稲、花き、野菜等の生産や、加工販売等を取り入れた付加価値の高い地域特産物の振興は極めて重要であり、低農薬有機栽培による農作物の生産も有効な手段の一つと考えております。このため、農業改良普及所と試験研究機関との連携を密接にしながら、実証圃場の設置などにより新規作物の導入や栽培技術の確立、さらには生産目標の設定や販売戦略の構築など、関係機関と農業者が一体となった取り組みを推進しまして、地域の実情に合った低農薬有機栽培の普及・定着に努めたいと考えております。 28 堂故委員 少し時間がなくなってきましたので……。  ことしは干ばつだったということで、無残なため池を幾つか見ることができました。ことしの水不足には十分貢献してくれたんじゃないかなと思うわけですけれども、水田等の受益面積の大小にとらわれることなく整備していただいて、住民に潤いと憩いを与える場としての位置づけをしっかりしてもらって、ため池の受益者負担のない整備を考えていただけないかなと思うんですが、堀田部長の御見解をいただきたいと思います。 29 堀田農林水産部長 現在、県内には約2,500余りのため池がございまして、その老朽度合いや必要に応じて整備復旧事業を行っておるところでございます。この負担のない整備というお話でございますけれども、今度、国でもため池等整備事業の採択基準を見直しまして、今まで団体営であったものを県営でできるというような採択基準の緩和を行いました。そのために、現在、40ヘクタール以上が県営であったものが、平地と申しますか下においては10ヘクタール、中山間地域になると5ヘクタール以上を県営で実施できるということになりまして、その補助率が地元負担のみで申し上げますと、市町村、地元を含めて30であったものが県営で20になりまして、県営につきましては市町村の財政負担の負担指数を示しておりますので、その20のうち15を市町村、地元を5というようなことで現在施行して、地元負担ゼロというわけにはなかなかいきませんけども、ただ自然保護とか環境保全に対する工種については、これは市町村までの負担。それから、生産性にかかわるものの施設基盤につきましては、他の土地改良基盤の負担の公平ということもありますので、一部5%負担していただくということでございますので、無料については御理解をいただきたいと、かように思います。 30 堂故委員 最後に、林業の中の県産材時代を迎えるわけですけれども、あちこち見ていますと、林道がもうちょっと整備されていれば有効に活用できるという地域をたくさん見ることができます。森林の適切な維持管理や低コスト化を図るため、林道の舗装整備が重要であると思うわけです。採択要件等の問題があり、現在は整備率が低いわけですけれども、県として、国への採択要件の緩和を強く求めていけばどうかと思うんですが、最後にお尋ねして質問を終わらせていただきたいと思います。 31 堀田農林水産部長 御指摘のように、林道の舗装は林業経営の効率化と森林の適切な維持管理並びに地域住民の交通の利便の向上を図るなど、大変重要であると考えております。県では骨格的林道を重点に、その舗装整備に努めておるところでございまして、その結果、本県におきます平成5年度末の林道舗装実績は、既設林道総延長が1,406キロに対しまして舗装済みが515キロで、舗装率は36.6%でございます。全体的に舗装率が低いように言われますけれども、平地と比べては低いわけですが、全国の林道平均から見ますと、全国は23.6%でございますので、かなり舗装率が上回っておるのではないかと、かように考えております。  採択要件の緩和にいたしましては、区間舗装の場合には、例えば林道は勾配が7%以上であるとか、その曲がる曲線半径が20メートル未満のカーブであるとかというところを舗装するんだというような考えになっておりますので、全線舗装につきましては、幹線でなければなかなかできないというような感じになっております。  しかし、最近のいろんな林道の広域的な利用だとかを考えますと、やはり舗装は必要なことだと考えており、国に要望したいというぐあいに考えておりますけれども、国におきましては、基本的には林道の質を高めることよりも、林道の開設を重点として、また林業の振興と低コスト化を図りたいという流れにございますので、いろいろ要望していかなきゃならん、採択基準の緩和を要望してまいりたいと思いますけれども、そういう流れもございますので、努力はいたしますが、御理解をいただきたいと、かように思います。 32 沼田委員長 堂故委員の質問は以上をもって終わりました。       渡辺(新)委員の質疑及び答弁 33 沼田委員長 渡辺委員。あなたの持ち時間は60分であります。 34 渡辺(新)委員 最初に、教育問題について質問したいと思います。  今度教育委員会では、今年の入試のときから、業者テストによる、いわゆる偏差値による輪切り入試というものを廃止して、それに変わるべき新しい教育改革ということで幾つか打ち出されました。総合学科の問題もあります。それから入試について傾斜配点の問題もあります。また、推薦制の中に特別加点をするということだとかいろいろな点で改革しようとされておるわけでありまして、その努力については敬意を表したいと思います。  この改革の幾つかの中身については、もろ刃の剣といいますか、逆に教育効果を減ずるという心配もなきにしもあらずというふうに指摘される方もおるわけでありますが、しかし私は、教育を改革しようという熱意でやられた案でございますので、心配な面があったにしても、改革しようという動きをしなければ何一つ現状よりも前進せんわけでありますので、その点では目的が達成されるような方向で全力を挙げると、こういう意味で私は評価をしていきたいと思っておるわけであります。問題は、その目的どおり達成させるために努力されるかどうかにかかっておると思っております。  ただ、物事は最初が肝心でございますので、初めてやったときのイメージが悪いと後々までその悪いイメージがつきまとうという心配があると思うんです。そういう意味合いで、初めてやる場合はそれなりに慎重に万全の体制を組んでやるべきであろうというふうに思っているわけでありますが、そういう点で心配される点があるわけでありますが、きょうは総合学科について質問したいと思います。  総合学科につきましては、生徒の個性を生かすとかあるいは特色ある学校という意味合いで、私どもはこういった学校はあるべき姿だというふうに思っておりましたので、総合学科の設置についてはもちろん賛成するものでありますが、ただ、実施するために十分な準備ができていないんではないかと、こういう面で心配する面がございます。例えば小杉高校の高教組分会、いわゆる先生方が、拙速過ぎるということで反対の決議を教育委員会に出されておるという話も聞きます。あるいは総合学科について、先生方や生徒、保護者といった方々に十分理解を得た努力がされておるのかどうか、こういった点で心配をするわけであります。例えば、普通科の推薦制については来年実施しないで8年度からというようにされたわけでありますが、これなどは、普通科の推薦制は大変難しい問題があるので多少時間を置いたんではないかと思うんですが、そういうふうに最初に実施するという年度ありきということではなしに、体制が整ってからやると、こういう意味合いでは多少拙速さが総合学科の設置にあるんではないかという感じがするんです。そういう点をどういうふうに考えておられるのかお尋ねしたいのと、小杉高校高教組分会の反対決議について、現在どうなっておるのか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。 35 吉枝教育長 総合学科の導入につきましては、教育委員会事務局が中心となりまして平成4年秋から基礎的な研究を2年にわたり続けてまいったわけでございますが、それとともに、その間、富山県高等学校教育研究協議会をつくりまして、県内各層の意見を聞いたり、あるいは教師、保護者を対象としましたシンポジウムを開催したりして、導入に伴う諸問題等について十分に時間をかけて検討してきたところでございます。また、小杉高校におきましても、本年4月から校内に改革委員会を設置しまして、先進校の視察を行ったり、あるいは教育課程や系列を試案してみるなど、自主的な調査研究を進めてきたところでございます。  このような経緯を踏まえましたうえで今回小杉高校への総合学科の導入を決定したところでございますが、平成6年度設置校の全国の例を見てみましても、決定時期は9月から11月というふうになっておるものが多いわけでございまして、これまでの研究成果もありまして、7年度設置が準備期間として適切であると考えております。これまで、学科改編等が行われる場合には、教育現場におきましていろいろな観点から議論が行われるのが常でありまして、改編等の決定後は、全教職員が一致しまして新しい方向に向けて全力を挙げて取り組んできたところでございます。  現在、小杉高校におきましては、教育委員会で決定しました基本方針に沿いまして開設準備委員会を精力的に開催しまして、カリキュラムの編成だとか新しい科目の研究だとか、あるいは教育方法に加え単位制に伴う諸問題等につきまして、先進校の事例を参考にしながら学校ぐるみで研究準備を進めておるところでございます。  教育委員会としましても、今後、学校における研究を全面的に支援するとともに、円滑に準備が進むように十分な指導を行ってまいりたいと考えております。 36 渡辺(新)委員 設置することをもう決めて準備を進めておるわけでありますから、今の段階で反対するということではございません。他の県が9月から10月に発表したから富山県もそれでいいということではなくて、年度の当初ぐらいに発表していくということなども必要ではなかったかと思います。いずれにいたしましても、そういった諸問題を問題ないように解決をして、全力を挙げて取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  それで総合学科の配置でありますが、現在小杉高校だけでございますが、設置する場合は東西に1校ずつぐらい設置すべきじゃなかったかなというふうに思います。資料を見ますと、公平な場を与えるというふうになっておりますが、例えば、朝日や入善から小杉まで通うとなりますと大変でございまして、せっかくできたこういった高校に行こうと思っても行けないんじゃないかというふうなことを考えるときに、東西に1校ずつぐらい設置するということからスタートすべきじゃなかったかというふうに思っております。  それは別にいたしまして、基本的に現在4通学区ございますので、それぞれに1校ずつぐらいきちんと配置をするというふうにしてほしいと思っておるわけであります。議会の答弁では、今後総合学科について段階的に配置をすると、そして小杉高校の状況を見てというふうな表現を使っておられるわけでありますが、必要なものであれば、小杉高校の状況を見て云々ということにはならんのじゃないか、状況を見て悪ければやらないということじゃないと私は思っておるんです。だとするならば、何年度に何校配置するというふうな年度別整備計画をきちんと出されるべきじゃないかなといふうに思ってみたりしておるんですが、このことについてどういうふうに考えられるか。  それから、今は1校でありますが、全県が通学区でありますから、もし2校なり3校なりができた場合にこの通学区域はどういうふうになるのか、その点をあわせてお尋ねしたいと思います。 37 吉枝教育長 総合学科につきましては、生徒に学校選択の機会を公平に提供するという観点からは、県全体に適切に配置することが望ましいと考えております。このために、県全体における長期的な総合学科の配置方針、それから設置校別の学科形態や整備条件等につきましてさらに研究を進めることとしておるところでございます。今後、新たな開設に向けまして所要の準備を進めますとともに、今回導入しました小杉高校の教育活動の状況やあるいは県民ニーズの動向なども見ながら、段階的に設置校を拡大していきたいというふうに考えております。  それから総合学科の学区につきましては、総合学科がそれぞれ固有の特色を持った学科となるということなどを考えますと、全県1学区とすることが適切であるというふうに考えております。 38 渡辺(新)委員 初めての学科でございますので、全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。  次に学習塾について質問いたしますが、文部省が8年ぶりに学習塾通いについて調査をした結果を見ておりますと、中学生の6割、小学生でも4人に1人が塾に通っていると報告しておるわけであります。傾向としては、塾通いが増えていること、塾通いの低年齢化、学校と塾のダブルスクール化、それから教育機関として完全に定着したと報告しておるわけであります。富山県も大同小異ではないかなと思ってみたりもしておるんですが、本会議では、高木議員のこのことについての質問に対して答えられておるわけでありますが、学習塾については多少過熱しておるんではないかというふうに思うんですが、この点についての見解をお尋ねしたいと思います。 39 吉枝教育長 本会議で高木議員にもお答えしたわけでございますが、学習塾通いの過熱化ということは確かにあると思っております。そこで、過熱化の解消につきましては、教師1人1人が児童生徒に対し、例えばチーム・ティーチングなどの指導法の改善を行ったりしてきめ細かい指導に努めて基礎学力の定着を図っていくことが大事であるというふうに考えております。また、それぞれの学校におきましては、1人1人のよさだとかあるいは可能性を生かす教育活動を行いまして、児童生徒が存在感、充実感を持って学校生活が送れるように魅力ある学校づくりの推進に努めていかなければならないというふうに思っておるところでございます。  さらに、この問題につきましては、高等学校入学者選抜のあり方とも関係しますので、推薦入学の弾力化だとか多様化を図る入学者選抜方法の改善というものを進めていかなければならないというふうに思っておりまして、そういうふうに対処してまいりたいと考えております。 40 渡辺(新)委員 私は塾そのものについて全面的に否定するものではございません。学校教育にない部分を補完するとか、あるいは特色ある分野について子供の好みに応じて設置するということについては、それはそれなりに存在する理由があると思っております。ただ問題は、過熱をして現在の学校教育に影響を与えるというところに問題があるんではないかと思います。特に問題があると思いますのは、今年の4月から業者テストを廃止して、そして今度、偏差値による輪切りの入試制度をやめようということで取り組んでおるわけでありますが、ところが、学校のほうが業者テストをやめて偏差値を出さないのであれば、今度は塾のほうが3年生を集めて試験をして、そして生徒に偏差値、点数を渡すと、それを見て生徒が自分の行くべき学校を選ぶと、こういうようなことなどをやっておるところに私は現在の塾のあり方に問題があるというふうに思っております。いわゆる国や県が挙げて教育の弊害を正そうとしておるのに、そういう悪い面をやろうとしておるところに塾の弊害といいますか、そういった点があるんではないかと、こういうふうに思っているわけであります。  それで、文部省が過日、塾の過熱解消について要請したと新聞で読んだわけでございますが、もちろん塾には営業権とかいろんな問題もありますから、介入とかそういうことはできませんが、文部省が塾の関係者を呼んで要請したように、教育委員会としても県の教育方針に照らして、過熱したりそれを阻害するようなところについては、それなりに配慮してほしいというふうな要請をする考えはないかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。 41 吉枝教育長 塾通いにつきましては、それぞれ個々のケースがあるわけでございまして一概に論ずることはできないわけでございますけれども、確かに過度の塾通いによって遊びや地域活動、家族とのふれあいの不足など、子供の人格形成や健康、体力面に悪い影響を及ぼすことがあるわけでございまして、そうあってはならないというふうに考えております。  文部省は、9月16日、学習塾団体との代表に対しまして、塾側に過度の塾通いについての理解を求めたところでございます。県の教育委員会としましては、県内の学習塾団体に対して指導するという立場にあるわけではございませんけれども、長時間深夜に及ぶなどの塾通いによる弊害が出ないよう十分配慮してほしいと考えております。 42 渡辺(新)委員 塾問題についても営業権とかいろんな難しい問題がありましょうけれども、学校教育に影響を来さないような面でそれなりに要請すべきだろうと思いますが、基本的には、塾に要請するということよりも教育委員会自身が塾に頼らなくていいような教育改革をする、教育体制をつくるということが本分でありますので、基本的にはその方向で努力していただきたいと、こういうふうに思います。  次に、こういった塾通いだとか、序列化された学校間格差を生み出した大きな理由はいろいろあると思うんですが、そういったことをなくするために今度幾つかの改革案を出されたわけでありますが、私は、そういったものを解消する一つとして、学区制の問題は大きな問題ではないかと思っております。もちろん、高校三原則であります小学区制ということについて今さら取り上げる考えはございませんが、少なくとも、現在富山県内に4つの通学区があるわけでありますから、普通科については通学区内にとどめるということも、今の教育改革を推進するうえで大きな要素を担っておるんではないかというふうに思っておるんですが、この点についてどういうふうに考えておられるか。  高等学校教育研究協議会の答申書を見ますと、通学区域の問題については答申書と異なる意見として羅列してあるんです。だから、もうこの問題は論議の対象外かのような扱いになっておるわけでありますが、しかし、この問題は教育改革について大きなポイントを握っておるんではないかと思うんですが、その点について、いわゆる普通科について通学区内にとどめるというふうにすべきという意見についてどういうふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思います。 43 吉枝教育長 現在の学区制でありますが、本県のコンパクトな地理的状況だとかあるいは交通機関の状況から考えまして適当であること、学校の選択を自由にし教育機会の均等が図られること、あるいは生徒の広い交流による人間的成長が期待できる、こういうメリットがあるわけでございまして、過去四半世紀も続き、安定した制度として広く県民の間に定着しているものというふうに考えておるわけでございます。  仮に普通科の隣接区域を含む通学区域を4通学区のみに縮小することになりますと、通学区域を越えました特色ある学校の選択ができなくなることだとか、あるいは生徒の人間形成過程での交流が狭い範囲に限定されることなどのデメリットも予想されるわけでございまして、制度の変更は子供たちに及ぼす影響も大きいことを考えあわせますと、学区制の変更には慎重でなければならないというふうに考えております。高等学校教育研究協議会の中では中心議論にはなりませんでしたが、いろいろな議論を闘わせたことは確かであります。
    44 渡辺(新)委員 普通科ですから別に特色ある高校というふうになっていないんですよ。ここに「高等学校我が校の特色」というのがございまして、これを全部見たんですが、それぞれの高校の特色は何かというふうに見ましたら全部スポーツなんです。例えば、水産高校は相撲、雄山高校はスキー、八尾高校はボート、富山西高校はフェンシング、富山高校は文武両道、中部高校はサッカー、富山工業高校はバレーボール、水橋高校はカヌー、新湊高校はヨット、高岡商業高校は野球部。我が校の特色と書いてありますから特色を書いてあるのかと思えば、そうじゃないんですね。全部スポーツを全面に出してスポーツで売り込んでおるんですね。これで果たしていいのかというふうに思っておるんですが、しかし、普通科につきましては、推薦入学をする場合に、何を基準にするかということが難しくて1年見送っているんです。私はこれはこれから論議になると思うんですが、いずれにいたしましても、普通科については、例えば魚津と富山と高岡と砺波にそれぞれ普通科があって理数科がある。ちゃんと学区ごとにきちんと配置されておるわけです。少なくとも新川学区におる人材は新川学区に結集すると。こういうようなことをやらないといかんのじゃないか。  私は何年前か魚津の市会議員選挙へ行ったんですが、その人は盛んに「大魚津の発展だ。人も人材も結集を」と言いながら、聞きましたらその人の子供さんは中部高校に行っておるんですよ。「あんたね、言うとることとやっとることが違うじゃないか」と言うたら笑っておりましたが、大魚津を考えるならば、新川区におる人材は、例えば勉強したい人は魚津高校に行くと、こういうふうにするという意味合いで、私は、せめて普通科ぐらいはそれぞれの学区の範疇にとどめるというふうにすれば、富山県の均衡ある発展にもなりますし、その人の持つ個性を損なうということにならんだろうというふうに思っておるわけでありまして、これにつきましてはこれからも折に触れてまた主張していきたいと思います。  それからもう1つ、教育長、この制度は県民に広く定着して安定したと言われますけれども、それじゃ年間1,000名を超える中途退学をどう思われるんですか。安定して1,000名でしょう。もし安定すれば、こういう中途退学が減っていかなければいかんわけですよ。だから、1,000名が中途退学する、それはやはり問題があるからではないかというところに論点を置いて検討されるべきじゃないかという点から考えるならば、この制度は定着して安定したとは言えんのじゃないかというふうに私は思います。その点についてはこれからまた折に触れて論議したいと思いますが、ぜひそういった意見もあることを小耳に挟んでおいていただきたいというふうに思います。  それから次に移りますが、理科教育についてお尋ねをしたいと思います。  これは大学のほうの資料によりますと、最近若者の科学技術離れが心配されております。大学の理工系学部への志願は1986年には25.6%であったんですが、1993年には19.5%まで減少したと報告されております。これは高校や中学、小学校のときの授業内容によって影響されておるんではないかというふうなことも言われておるわけでありますが、この点についてどういうふうに考えておられますか、お尋ねしたいと思います。 45 吉枝教育長 平成5年版の科学技術白書によりますと、大学の理工学部への志願者の比率は平成元年以降少しずつ減少しておるというところでございます。このような状況についてこの白書は、最近の若者の意識が科学技術から離れつつある傾向を示唆するものであるというような指摘をしておるところでございます。科学技術離れは、楽しく経済的に豊かな生活、あるいは収入が多く拘束時間が少ない職場を志向する。若いうちの苦労を忌避する若者の気質の変化だとか、あるいは景気変動や産業構造の変化などによる産業界の求人の動向など、これはさまざまな要因が含んでおるものというふうに考えております。  現在の学校教育におきましては、新しい学習指導要領で、小学校低学年の理科と社会が廃止されまして生活科が新設された分確かに理科としての時間数は減ったわけでございますが、授業の内容において、児童の日常生活に密着した事象を扱うなど、むしろ自然の事物、現象に児童の関心や意欲を引きつけるようになっており、またそういうふうに努力しておるところでございます。  新しい学習指導要領のねらいでありますが、理科教育においても、単に知識の量を求めるだけではなくて自然に対する関心を高め、観察、実験などを行いまして科学的に探究する能力と態度を育てることを重視しておるところでございまして、今後ともこういう方向で充実に努めてまいりたいと考えております。 46 渡辺(新)委員 次に、私立高校の問題についてちょっとお尋ねいたしますが、富山育英センターが中学校、高校一貫の6年制学校の設立を予定しておると聞いておるわけであります。現在どういう状況なのか、これについてお尋ねしたいと思います。 47 岡本総務部長 県内で学習塾を経営しておられます株式会社富山育英センターが6年制の中高一貫校の設置構想を持っておられる。私どももその構想をお聞きしております。私どもがお聞きしております内容によりますと、平成8年4月に中学校、持ち上がってきますんで3年後の11年4月に高等学校を設置するということ。学校の規模でございますが、中学校の入学定員、第1学年を160名、高等学校の入学定員、これも同じく第1学年になりますが、200名として全寮制。生徒は県内だけでなく県外からも募集するとお聞きしております。  御承知のように、私立の中学、高等学校の設置に当たりましては、私立学校法に基づきます学校法人の認可と、それからさらに学校教育法に基づきます学校そのものの設置の認可が必要となります。その際には、法令で定められております要件として、まず学校法人につきましては私立学校に必要な施設設備、それに必要となります自己資金を確保しておられること、2番目には文部大臣が定める設置基準を充足すること、その他幾つか要件がございます。また、そのほか知事が定めております設立認可に関する審査基準というものもございます。さらに、手続といたしましては、県にございます私立学校審議会の議を経て最終的に知事が認可するというのが手続でございます。  なお、これまでの経緯から生徒定員につきましては、県の公私立高等学校連絡協議会などの関係機関等において十分な調整が必要ではないかと考えております。この計画につきまして、県として、現在のところ法令に定めております要件を満たしている状況ではないのではないかと判断しております。 48 渡辺(新)委員 内容については、認可するまでにいろんな段階を踏むということだとか、現状についてまだ何とも言えがたいということでございますが、ただ、現在生徒がどんどん減ってくる状況なんです。現在の中学3年生は1万4,342名。これが8年後には1万933名。3分の2強に減るわけです。全国から集めるとは言いながらも、こういう状況のもとで学校の設立は果たして必要かどうか。そういう点でどういうふうに考えておられるのか。  それから、設立されれば私立でございますので、現在の公立と私立の比率も影響されるんではないかというふうに思うんですが、その点についてどういうふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思います。 49 岡本総務部長 御質問の生徒急減の件でございますが、法令上は特段の規定はございません。ただ、今御指摘のように単純な試算でございますが、本県の中学卒業者数がこの予定でいきますと、平成11年ということになっておりますが、その年度には1万2,895名。本県の中学卒業者のピーク時が昭和63年でございまして、この時点で1万9,126名でございました。そのときに比べますと67%まで減少いたします。さらに11年以降も緩やかに減少することが見込まれております。これは現在の小学生あるいは幼稚園の子供さんたちが上がっていくわけですから単純な試算でございます。さらに、高等学校進学予定者の23%が現在の私立学校の比率でございますが、これを単純に当てはめますと、平成7年度、来年の春3,210名が私学の入学定員でございますが、11年度には2,900名まで減少いたします。  先ほど申し上げましたように、私立の中学、高校の設置認可につきましては、認可のための要件などが充足されますならば設置認可の手続を進めることとなっておりますけれども、本県におきましては、これまで私立高校の入学定員につきましては、今申し上げました公私の比率、さらには私立学校の間同士での調整を行ったうえで定めておるのが実情でございます。となりますならば、新設私立高校の設置認可に際しましては、このような点での十分な調整が必要ではないかと考えております。 50 渡辺(新)委員 生徒が減少するとかそういったいろんな要素も含めて慎重に対応していただきたいと、こういうふうに思います。  次に、子どもの権利条約の問題についてお尋ねしたいと思いますが、これは今年の5月22日に、いわゆる児童の権利に関する条約を日本が批准いたしまして効力を発効したわけであります。国のほうからもこれに対するそれなりの文書が来ておると思うんですが、これが発効されたことに伴って学校の運営や通常の授業について何か点検するとか見直すという点があるのかどうか。  文書をさっと読んでみますと、児童が人格を持った一人の人間として尊重されねばならないとか、あるいは退学、停学及び訓告の懲戒処分は教育的配慮を持って慎重かつ的確とか、さらには学校における国旗・国歌の指導は児童生徒等の思想、良心を制約しようというものではないことなどいろんなことも書いてございますが、現在の学校運営や通常の授業に何らかの点検なり見直す点があるのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。 51 吉枝教育長 児童の権利に関する条約でございますが、世界の多くの児童が、今日なお貧困あるいは飢餓などの困難な状況に置かれておることによりまして、世界的な視野から児童の人権の尊重、保護の促進を目指したものと認識しているところでございます。  この条約の権利につきましては、その内容の多くは、我が国の憲法をはじめとする現行の国内法制で既に保障されておるわけでございますが、本条約の批准を契機としまして、学校教育におきましてはより一層児童生徒の人権に十分配慮し、1人1人の個性を大切にした学校経営や教育指導が行われるようにしていくことが大切であるというふうに考えております。そのため、教育活動全体を通しまして児童生徒の意見や考え方を十分把握するとともに、児童生徒の発達段階に応じた適切な教育指導が必要であるというふうに考えております。 52 渡辺(新)委員 これは要望ですけれども、児童の権利に関する条約については、発展途上国の飢餓だとか貧困だとか虐待、そういった人々を人間らしく生きられるようにというところから発展したと伺っておるわけでありまして、日本の場合はそういう点では恵まれておるわけであります。子供の教育もさることながら、そういった飢餓に苦しんでおる子供あるいは虐待されている子供を日本の子供たちに知らせて、そしてまた理解と協力を得る。例えばそのためのシンポジウムを開くとか、あるいは何かお手伝いすることがあれば協力するとか、あるいは行けるかどうかわかりませんが、韓国や姉妹都市へ中学生や高校生が行くとか、そういったようなことなども考えていただければというふうに思いますので、要望にしておきます。  それから次に、世界遺産の問題についてお尋ねいたします。  これは、9月14日にありました国の文化財保護審議会で、平、上平両村と岐阜県白川村が、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産条約に基づいて世界遺産一覧表へ記載推薦することが決まったということでございますが、大変喜ばしいことであるというふうに私は思います。世界遺産は、中国の万里の長城だとかフランスのベルサイユ宮殿、アメリカのグランド・キャニオンなどと肩を並べて記載されるわけでありまして、日本では法隆寺、姫路城、屋久島、白神山地と4つしかないわけでございまして、まことにいいニュースだというふうに思っております。  来年の12月の世界遺産委員会の承認を経て記載が決まるということでございますが、12月まで大変なんではないかと思いますが、いずれにいたしましても、国の文化財保護審議会で推薦されるまで努力された当局の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げたいというふうに思っております。このことの経過だとか、それから来年12月に世界遺産委員会の承認を得るわけでありますが、それに向けての課題等についてお尋ねしたいというふうに思います。 53 吉枝教育長 このたび「白川郷・五箇山の合掌造り集落」が世界遺産に推薦されることになった経過につきましては、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約、いわゆる世界遺産条約が平成4年6月に政府によって締結されました。文化遺産として、法隆寺の仏教建造物だとかあるいは姫路城の2件があるわけでございます。また自然遺産としましては白神山地、屋久島の2件、計4件、先ほどおっしゃったとおりでありますけれども、世界遺産として既に登録されておるわけでございます。また、「古都京都の文化財」が現在推薦中であります。  文化庁ではこうした経緯を踏まえながら、このたび「白川郷・五箇山の合掌造り集落」が、住まいする人々によって長年保存され、また我が国における大型木造住宅の集落の典型を示すものとして高く評価されまして、先ほどの5件に次いで世界遺産として推薦することになったわけでございます。去る9月14日の国の文化財保護審議会の了承を得まして、このたび推薦されることになったところでございます。  また、世界遺産委員会の承認は来年の12月ごろの予定でございますが、承認を得るまでの課題につきましては、条約及びその履行のための作業指針では、世界遺産の候補は、条約の締結国が国内法によって保護し、公開等の措置を講じている遺産の中から推薦することとされており、世界遺産となることによって新たな規制が付加されるというものではございません。ただ、世界遺産となることにより、国内はもとより、国際的にも広く知られることになるがために、これまでにも増して合掌造り集落の保存はもとより、防災面だとかあるいは観光面での対策については、今後十分検討していかなければならないものであろうというふうに思っております。 54 渡辺(新)委員 富山県にとりましてまさに大変な遺産でございますので、万全の態勢で記載されるように努力していただきたいと思います。  これに関連してお尋ねいたしますが、これはまさに県民の誇りだというふうに思います。富山県というのは、県外へ行きまして「富山」というイメージを聞きましてもあまりぱっとはね返ってこないんですね。富山というのはどこにあるんですかと。せいぜい富山のくすりですかというようなはね返り方なんです。最近、だんだんいろんなイベント等がありまして富山県も宣伝されてまいりまして変わりつつありますが、さらにこういったものに記載されればより一層富山県というものが全国に誇れるんじゃないかと、こういうふうに思います。また、平成8年の国民文化祭の目玉にもなるんではないかと思ってみたりもしておるわけであります。  そういう意味合いで、世界遺産の記載に向けての何か県民運動を起こす考えはないかどうか具体的にちょっと伺うわけですが、県民の大事な遺産でございますので、県民とともに運動を起こす考えはないかどうか伺いたいと思います。  それから、県民運動を起こすために、県庁の組織に世界遺産というものを表示したそういう担当組織をつくる考えはないかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。  これは新聞に載った投書でございますが、ちょっと読んでみますと、いわゆる立山課を新設してはという投稿です。「静岡県御殿場市では富士山課が誕生した。富山県では立山山麓地域整備構想調査の結果がまとまり、より質の高いレクリエーションリゾート地域としての構想が打ち出されている。この際、立山課を新設したらいかがだろうか」という投書もございますが、この際でありますので、世界遺産というそういう名称を表示した何らかの組織をつくられたらどうかと思うんですが、この点についてお尋ねしたいと思います。  なお、先ほど世界遺産に登録された場合には保存その他について条件がついてくるということでございましたが、世界遺産というのはまさに次世代に残すためのものでございますので、伝統的建造物だとか自然環境保全に万全を期していただきたいというふうに思うんですが、こういったことについて知事にお尋ねしたいと思います。 55 中沖知事 五箇山の合掌造り集落は富山県の誇る貴重な文化遺産でありますが、これまで平、上平両村をはじめ地域住民の皆さんとともにその保存に努めてきたことが世界遺産の推薦につながったものでありまして、大変名誉なことと考えております。また、昨日文化庁から連絡がありまして、日本政府として正式にパリのユネスコ本部へ推薦書が提出されることになったところでありますが、まことに喜びにたえないところであります。  このようなことから、県といたしましては、去る9月14日、平、上平両村及び県の関係各課から成る五箇山の合掌造り集落世界遺産準備会議を設立したところであります。今後この準備会議におきまして、まず第1に、世界遺産登録に向けての富山、岐阜両県、三村一体となった積極的な取り組み。第2に、先般制定されました平、上平両村の伝統的建造物群保存地区保存条例及び自然環境と文化的景観の保全に関する条例に基づく合掌造り集落とその周辺の自然環境の保全、防災等の対策。第3に、世界遺産登録により、全国各地や世界各国から訪れる人々への積極的なPRをはじめ、交通、宿泊等の対策などにつきまして鋭意検討を進めていくことにいたしております。  いずれにいたしましても、このたびの五箇山の合掌造り集落の世界遺産推薦は、法隆寺、姫路城等とともに世界の文化遺産として21世紀の次の世代に引き継いでいく大きな契機になるものであります。今後、伝統的建造物群でもあります合掌造り集落やそれを生み育てた自然環境の保全に、富山、岐阜両県はもとより、文化庁、地元平村、上平村、白川村の連携のもとに万全を期してまいりたいと考えております。  なお、県民運動の問題につきましても、先ほど申し上げました準備会議において十分今後検討してまいりたいと考えております。 56 渡辺(新)委員 組織については……ちょっと聞きそびれたんですが、いわゆる県庁内ではこの扱いは文化課の中の芸術文化係ですか文化財係ですか、の所管かと思うんですが、例えば、こういったところに世界遺産係とか何かそういうようなものを設置して取り組まれるお考えはないかどうか。今、質問の仕方が悪かったんですが、そういう点についてどういうふうに考えておられるかお尋ねしたいんですが。 57 中沖知事 この問題につきましては、文化課の文化財係で所管することになるわけでありますが、いずれにいたしましてもこの文化課だけの仕事ではありません。県庁の関係課にも随分関連いたしますし、何よりも平村、上平村、そして岐阜県白川村といろいろと関連する部分が多いわけでありますから、先ほど申し上げました五箇山の合掌造り集落世界遺産準備会議という大きな組織の中で連携を取り合いながら進めていきたいと、このように考えておるわけであります。 58 渡辺(新)委員 ぜひ来年12月に記載されるように御努力をお願いしたいというふうに思います。  次に、福祉問題についてお尋ねいたします。時間もなくなりましたので、まず最初に、2番目の県内ヘルパーの雇用形態についてお尋ねいたします。  実は、これは新聞で読んだんですが、行政監察事務所が監察結果として、富山県のホームヘルパーの利用率が低いということを指摘されておったわけでありますが、いろいろ理由があるんでしょうけれども、こういった利用率の低い理由として、たくさん理由があると思いますけれども、こういった福祉事業を推進するホームヘルパーがその中心を、大きな要素を担っているんじゃないかというふうに思っております。それで、ホームヘルパーの雇用形態についてどういう状況なのか、簡単にお尋ねしたいと思います。 59 三觜厚生部長 ホームヘルパーの勤務形態につきましては、常勤、非常勤の制度があります。また、その実施方法においても多様な形態を認めていることから、実施主体であります市町村において、賃金等も含め実情に即した対応がなされているところでございます。  具体的には、ホームヘルプサービスの実施方法として、すべて市町村の直営で行っているところが20市町村。2番目に、すべて市町村社会福祉協議会や特別養護老人ホームに委託しているところが8市町。3つ目に、市町村の直営と社会福祉協議会などの委託を組み合わせているところが7市町ございます。  現在、平成5年末のホームヘルパーの数は585人となっておりまして、常勤のヘルパーが278名、非常勤のヘルパーが307名となっております。 60 渡辺(新)委員 ちょっと時間もございませんでしたのではしょりましたが、ホームヘルパーの問題につきまして、基本的には、常勤についてはその自治体が採用すべきだというふうに私は思っているわけであります。ホームヘルパーの常勤について嘱託でいいとかという考え方は、今のように高齢化社会がきておらないときの感覚があるんではないかというふうに思ってみたりもしております。  この間、亀井運輸大臣が、スチュワーデスの契約社員の問題について正規の職員と契約社員とでは安全性に問題があるということを指摘したことがございます。これは安全論争でございましたが、それが他のところへ波及いたしまして、いわゆる経営上安上がりというところに発展をしてしまったわけでございますが、ホームヘルパーの常勤について自治体の正規の職員にしないというのは、やはり安く上げようというような気持ちがあるんではないかなと、こういうふうに思っておるわけでございますが、高齢化社会を迎えて、また高齢者保健福祉計画の推進が極めて重要だと思われているときに、そういったものを推進する立場にあるホームヘルパーの身分について、もっと考えるべきじゃないかというふうに思っておりますが、時間もございませんので、自治体の職員であるべきだということを申し上げて、この点は終わりたいと思います。  最後に、これも時間がございませんので簡単に答えてほしいんですが、民生委員のいわゆる報酬と、それから地区民協の活動費について、全部言われなくていいですからはしょって答弁をしてください。 61 三觜厚生部長 民生委員は報酬が現在ないというお尋ねだと思いますけれども、民生委員は民生委員法に基づきまして名誉職と規定されておりまして、一般に生活を保障するための報酬や給料などを受けない公の職とされておりますので、給与等は支給されないということでございます。 62 渡辺(新)委員 時間がございませんので要望になるかもしれませんが、民生委員の待遇について資料を見ますと、経費ということで年間1人5万円ほど支給されておりますが、これは全国的に同じであります。ただ問題は、民生児童委員の地区民協──地区の民生児童委員協議会の活動費についてでございますが、これにつきましては全国ばらばらなんです。1民生委員当たり、個人にわたるものじゃなしに、その民生委員の方々が地域で活動するために出すものでございますが、これを見ますと、民生委員1人当たり、高いところで1万円、低いところではいろいろあるんですが、一番高いところでは栃木県で1万903円、富山県は3,000円であります。民生委員の方々に聞きますと、こういった会合がたくさんありまして、こういった活動ではなかなか十分ではないという意見もございます。  こういった点について、ぜひゴールドプランを達成する意味におきましても、その中心を担っております民生委員が名誉職というのは、恐らく昔のイメージから発想しているんじゃないかと思うんですが、今日名誉職が持つ意味は何か片手間であるというふうな印象を受けるわけでありますが、そういったものではないと思いますので、ぜひ民協活動費等についても十分配慮していただくように要望申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 63 沼田委員長 渡辺委員の質問は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                     午後0時10分休憩                     午後1時05分開議       横田委員の質疑及び答弁 64 北島副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  横田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 65 横田委員 お昼の時間も終わりまして昼食も終わりました。そろそろ眠くなるような時間帯でありますが、しっかりとお聞き願えれば大変ありがたいと思っております。よろしくお願いをしたいと思います。  まず質問に入る前に、ここにおられる皆様方は裁判官になったつもりで、私、今から少し頭の体操といいましょうか、ゲームまでいきませんが少し設問を申し上げますので、どうぞ裁判官になったつもりでお聞き願いたいと思っております。  1つの問題を提起します。問題となったのは、バドミントンセットのことであります。このバドミントンセットは香港からの輸入品でありますが、輸入業者が不明のために税関で公売処分にしました。そしてその後、販売業者X氏の手を経てAさんが買い取りました。Aさんはこのバドミントンセットを買いましておいっ子のB君とC君にプレゼントしました。そしておじさんからもらったバドミントンセットを、バドミントンの通常どおりのやり方でおいっ子のB君とC君がおのおの遊んでおったわけであります。ところが遊んでいる最中にバドミントンのラケットのシャフトが抜けました。そしてそのシャフトが飛んでいきましてC君の目に当たったと、刺さったといいましょうか当たったわけでありまして、そしてそのおいっ子のC君は大変大きなけがをしたわけでありますが、このC君は、税関と業者を相手取って損害賠償の訴えを起こしたわけであります。これは実は神戸にあった話であります。これはまず1問目の設問であります。バドミントンセットの事故であります。  設問の2は、8歳の女の子が薄手の木綿地のネグリジェ姿のままでガスストーブの前でうずくまって暖をとっておりました。突然ストーブの火が急に大きくなり、そして着衣に引火して燃え上がりました。その8歳の女のA子というのは体に大変な大やけどをいたしました。そしてそのA子さんは、この事故は異常燃焼であるということで、ガスストーブの設計上、製造上または使用指示上に欠陥があることによるものであるということでメーカー側へ損害賠償を請求いたしました。これは東京であった話であります。  この2つの設問を今申し上げたわけであります。裁判官である皆様方がどういうふうにこの2つの問題を裁かれるのかということであります。最初に申し上げましたバドミントンセットのラケットの件でありますが、これは神戸地方裁判所に提訴されました結果、国及び業者に対して、治療費、医療費、弁護士費用など合計して50万円余りの支払いを命じたわけであります。いわゆる過失があったということであります。これは物を売る人は、売るかわりにいわゆる代引きとして現金をもらう、売り上げをもらうという裏腹に、その商品の安全配慮義務というのがあるそうであります。これは安全な商品でありますというそういう義務がついておるということで、いわゆる本件の事故に係る義務違反をしておるということで損害賠償の責任を負わなければならないということになったわけであります。事件の中身はそう難しくはないと思います。私も当然、買ってきたバドミントンのラケットが抜けて、そしてそのシャフトが目に当たれば、確かに商品の欠陥ではないかなということぐらいは何となしにわかるような感じはいたします。そして当然、売った人、それから贈ったおじさんにもその違反行為があるわけでありまして、おじさんにも何らかの責任があるというふうに記してあります。ですので、もちろん税関長も事故発生の予見の可能性というものをしなければならないということでありましたが、途中で税関長に対しては、上告審では過失がないということで責任の追及はなかったわけでありますが、一応物を売ったXさんに責任を負わされたということであります。  それから、後の設問のストーブの件でありますけれども、この件につきましては、そのストーブが異常燃焼であったかどうか甚だ疑わしいことであるというふうに記しております。そして異常燃焼がなくても、女のお子さんは着ていたネグリジェとストーブの位置関係次第で引火の可能性はいつでもあり得ると、異常な炎でなくても、通常の炎であっても距離が近ければ引火するということで、この1件は賠償責任がないということに断を下されたわけであります。このへんは大変難しい問題でありますが、設計上、製造上のミスであるかどうかということの捜査といいましょうか、そういったものの黒白をはっきりつけないことにはこの裁判の結果が出ないわけでありますが、結果的には、そういったことで結果が出たということであります。  今2つの例を申し上げましたが、このストーブとかバドミントンセット、この種の問題はまだ非常にわかりやすいわけでありまして、むしろわかりにくいのは健康食品とか化粧品とか、こういったものについては過失責任の是非は非常に難しい商品であるわけですが、今申し上げた2つのものについてすら非常に責任が問われるという状態と、何ら責任がないという状態に2つにはっきり分かれておるわけであります。  今申し上げたのは製造物責任法でありますが、いよいよ来年の7月から日本でこの法律が施行されるわけであります。今日までいろんな経過があったわけでありますが、そもそも本県には特に製造業者、あるいはまた加工業者も大変多いわけでありますが、来年からこの法律が施行されますと県下に大きな影響を与えると思いますが、まず商工労働部長にお聞きしたいんですが、どのように受けとめておられるのか、お答えを求めたいと思います。 66 佐藤商工労働部長 来年の7月から施行されます製造物責任法は、製品の欠陥から生じた被害の救済を迅速確実にするためのルールの整備を図ったものでありまして、社会の高度化、多様化、国際化の進展に対応し、安全で住みよい暮らしを実現する新しい製品安全対策と認識しております。  この法律におきましては、被害の救済対策として、今までの原告が製造業者の故意、過失を立証する過失責任の原則から、製品の欠陥を立証すれば足りる欠陥責任の考え方を導入しておりまして、製造業者などは、これまで以上に安全対策に留意する必要があると考えております。  ただいま申し上げましたように、この法律は、従来の民法の責任原則を転換しているために、企業の方々にとって大変不安感を持っていることにつきましては十分理解できるところであります。ただ、この法律の中身につきまして二、三申し上げますと、この製造物責任法の適用される対象物は、基本的に大量生産、大量消費される動産でございまして、不動産や電気、ソフトウェアなどの無体物は対象外である。さらに、製品の欠陥によりまして人的損害や物的損害、当該製品以外の物的な損害をもたらしたという場合、いわゆる拡大被害が生じた場合のみ対象になるわけでありまして、例えばその製品が本来の機能を発揮し得なかったと。しかし、物的、人的損害を与えないという場合には単なる品質の問題でありまして、これは製造物責任法の適用外でございます。その他中小零細な製品下請業者への配慮や、企業の研究開発などを阻害しないための免責事由、責任期間の制限などの措置も講じられているところでありまして、製造業者などの方々は、まずこの法律の内容を正確に理解していただくことが肝要かと考えております。  製造物責任法が施行されるに当たりましての企業の対策につきましては、企業がこれまでも、電気用品取締法や消費生活用製品安全法など、各種の製品安全法に基づき事業活動や安全対策を行っているところであるところから、これらの安全対策を製造物責任法の内容に沿って、製品の安全性の向上、表示、取り扱いの説明の充実など、事故の未然及び再発防止、並びに被害の迅速かつ確実な救済につきましての2つの対策を柱とする総合的な安全対策への充実拡充に努めていただきまして、製造物責任法をクリアしていただくことが肝要かと考えております。  県といたしましては、関係機関とも連携を強化しまして引き続き同法の円滑な実施のために製造業者などに対します啓発普及に努めてまいりたいと考えております。 67 横田委員 一般県民にとりましては、製造物責任法(PL法)と言っておりますが、耳なれない、まだまだ理解し得ない法律でありまして、今商工労働部長からもいろいろと説明がありましたが、極めて難しい面がたくさんあるわけであります。  ここに1つのデータがありますが、国民生活センターで把握している危害・危険情報は年間約6,000件余りあり、そして、このうちで人身に危害が及んだという危害情報は4,500件あるといったデータがあります。危害発生と危険発生とに分けておりますが、危害発生の一番高い製品は、まず第1位は化粧品であると、その次に第2番目は健康食品であると、そして3番目は美容品であると、4番目は医療機器であると、あとはいろんなものがありますが、我々素人といいましょうか、こういった今申し上げた商品に対する理解がほとんどないわけでありまして、その結果、ちょっとかぶれたとか、ちょっと皮膚に斑点が出たとか結果的にしかわからないわけで、壊れているものを直すというようなわけにはいきません。そういった危害発生の高いものは、なかなか理解しにくいものがあるわけであります。一方また、危険発生といいましょうか危害に対する危険度の高いものは、一番最初に自動車、2番目にテレビ、3番目に石油温風ヒーター、次に4位として電気洗濯機云々とあるわけでありますが、大体品物はわかるような気がするわけです。  そこで、実は約10年前ぐらいから一気にこの危害・危険情報が急増いたしております。10年前は大体2,000件ぐらいだったものが、今申し上げましたように既に6,000件をオーバーしておるというのが実態であります。このような実態から、県民に製造物責任法というものを十分知らしめておく必要があるんじゃないかなというふうに思っておるわけであります。現在、この件についてどのようなふうに考えられて、どのような計画を立てておられるのか、生活環境部長にお聞きしたいと思います。 68 炭谷生活環境部長 製造物責任法の正確な理解を通じまして、欠陥のある製造物による消費者被害を未然に防止するとともに、消費者被害を円滑かつ適切に救済するため、県民へ新しい制度への普及啓発は重要であると考えております。このため県におきましても、既に6月に、一般県民を対象としております消費者スクールにおきまして、「PL法と消費者保護」のテーマでもって啓発講座も開催をいたしたところでありますし、また毎月発行しております情報誌「くらしの情報とやま」というのがございますが、この8月号におきましてもこの製造物責任法の紹介をさせていただいておるところでございまして、来年7月の法施行に向けまして、さらに消費者説明会の開催なり、あるいは啓発パンフレットの作成等、各種の啓発事業を積極的に実施してまいりたいと考えております。 69 横田委員 ぜひ、限られた時間の中で県民に十分な啓蒙を図っていただきたいなというふうに思っています。一方、PL法とは何かということを今一生懸命研究している最中の企業がたくさんあります。そして、なかなか理解しにくいなという企業者もおられます。しかしながら、今や避けて通れない問題でございますので、いろんな指導体制といいましょうか、講習会、研究会といったものも当然開催されてくると思いますが、現時点で県当局として何かそういったようなアクションを起こしておられるのかどうかお伺いしたいと思います。 70 佐藤商工労働部長 製造物責任法の施行に向けまして、関係事業者は法の内容を熟知するとともに、消費者に損害が生じないように適切な対応をとる必要がございますが、とりわけ中小企業におきましては技術や資金などで対応に困る面があると考えております。  このため、本県におきましてはこれまでも、富山技術開発財団や商工会議所、商工会におきまして、各種講習会や研修会の開催、また機関紙への掲載などによりまして、製造物責任法の内容及びその対策について周知を図っているところでございます。さらに国におきましても、今年度、製造物責任法の制度内容を周知徹底するためのパンフレットの作成や専門家の派遣などによります製品安全対策に関する現地指導などを行うこととしております。  県といたしましても、今年度、富山県産業情報センターにおいて、中小企業事業団とともに中小企業製品安全対策セミナーを開催し、製造物責任法の内容とその対策などについて周知徹底を図りたいと考えているところでございます。  今後とも、工業技術センターや産業情報センター、さらには商工会議所、商工会、中小企業団体中央会などの中小企業関係団体、技術開発財団などと連携を図りながら、あらゆる機会をとらえまして啓発と指導を行い円滑な法施行に向けて努力をしてまいりたいと思っております。 71 横田委員 そろそろ県当局もいろんな形で計画され、そしてアクションを起こされつつあるというような状況であります。各企業はいろんな面でPL法について今不安感がいっぱいでありますので、ぜひ積極的な県当局の指導をお願いしたいと思っております。  先ほど全国的なデータの中で、危害、危険をひっくるめて年間6,000件ほどあるというふうに申し上げておりましたが、それでは本県において、今日までそのようなたぐいの事故が何件ほどあったものか、もしわかれば教えていただきたい。そして、その後の処理についてどういうふうになされたのか、わかればお聞きしたいと思います。 72 炭谷生活環境部長 県におきましては、従来から消費生活センターを中心に消費者から製品に関する苦情等を受け付けているところでございますが、この新しい製造物責任法の要件に該当する事例であるかどうかは定かではございませんが、製品の使用によって人身に被害を生じたと、こういう苦情相談はここ3年間で年間20件前後ございます。これらの相談につきましては、ほとんどが原因究明あるいは検査分析までに至らずに、業者と被害者との間で話し合いにより解決されておると、こういう実情でございます。 73 横田委員 今は、部長の答弁ではここ3年間で年間20件ほどあるということでございます。これは人身事故絡みでございますので、このように苦情としてあったと思いますが、おそらく危害発生というような件数はこのほかにもっとたくさんあるんじゃないかなというふうに推測されるわけでありますが、いずれにしても、毎年毎年この種の事故が絶えることなくあるということであります。特に来年の7月以降については、おそらく数多くの訴訟問題が発生するんじゃないかなというふうに予測されるわけであります。アメリカ及びEC諸国はPL法を早くから制定して訴訟社会に対応しておりますが、そういった訴訟社会であるアメリカあるいはEC諸国と違って、我が国は、そのへんはうまく機能していくのかどうか大変心配されるわけでありますが、それに対する対応システムの確立というものが当然必要だろうと思いますけれども、まだまだそういった対応もできていませんし、また日本の場合、その訴訟ということについてあまりなじみがないといいましょうか、訴訟ということは大変なことであるということでありますので、簡単に弁護士さんのところへ行ってひょっと対応するというようなアメリカ社会じゃなくて、日本の場合は訴訟ということについては大変ふなれであります。あるいはまた、そういう訴訟費用をかけて消費者は大変困難な環境に置かれるんじゃないかなというふうに思っておるわけであります。こういった点についてどういうふうに受けとめられるのか、再度生活環境部長にお聞きしたいと思います。 74 炭谷生活環境部長 この製造物責任法が施行されますと、生命や身体に対する重大な侵害等の被害が大きいものにつきましては一定の効果も期待されるわけでありますが、消費者の側から見た場合、訴訟に要する時間的あるいは経済的負担というものを考えますと、比較的少額の被害をいかに救済するかということが課題として残っておるかと思っております。また、欠陥の存在などにつきましても、この被害者ができるだけ容易に証明できるという体制づくりも必要かと考えておるわけであります。このため、製品の欠陥に起因する消費者被害を救済するため、製造物責任法の制定とあわせまして、少額の被害等に係る裁判外における紛争処理機能の充実や、あるいは被害者の利用しやすい原因究明体制を整備することが必要であるとされておるわけでございます。  国におきましても、現在この点につきまして、国民生活センターの充実などを図ることといたしておるわけでございますが、県といたしましても、消費生活センターにおきます相談員の資質の向上、あるいは商品テスト機器等の整備充実を図りますとともに、現在ある苦情処理委員会を機動的に活用するなど、裁判外におきます紛争処理や原因究明体制の充実に努めてまいりたいと考えております。 75 横田委員 この原因究明をするシステムあるいは施設の充実は、今から極めて大切であろうというふうに思います。ぜひ一日も早くその対応をお願いしておきたいなというふうに思います。特にこれは、企業側と消費者と行政の三者一体で処理されていくものと思います。そういった意味で、そういった危害の情報システムというものを早く整備すべきだろうと思います。何しろ来年の7月スタートでありますから、先ほども申し上げましたように本県は物づくりの県でございますので、他県よりも早くそういった情報システムの整備というものを確立すべきではなかろうかなというふうに思います。  今、特に価格破壊という国際社会の中で大変な企業戦争になっておるわけでありますが、特に日本の場合は、今や世界の中で賃金が一番高い国になってしまいました。価格のコスト低減化というものが非常に困難な国になってしまいました。そういうことからどうしても海外シフト、外国の安い労働力に依存しなければなかなか困難になってきたというそういった国際競争社会の中で、ある意味では大変あえいでおるわけであります。  そういう悪条件の中で来年7月からPL法が施行されるわけでありますが、おそらくますます新商品、新製品の開発には十分そういった安全性というものを考える中で、大きな開発費がかかるだろうと、また当然製品の単価はコストアップにつながるだろうと、今の世の中の価格破壊と逆にいくような感じがするわけでありますけれども、こういった点について商工労働部長はどのようにお考えかお伺いしたいと思います。 76 佐藤商工労働部長 新製品の研究開発につきましては、これまでも企業側としては、消費者の安全確保を重点としまして、各種の製品安全法や独自の社内規格をクリアしながら活発な研究開発をし成果を上げていると認識をしております。また、既に欧米先進諸国では消費者保護の立場から無過失責任制を採用しました製造物責任法が施行されていることもありまして、これまでも、我が国の輸出を担当する企業は、その規制を十分満足すべき新製品開発を行い、欧米諸国に対して輸出を行っているところであります。  ただ、このたび新しく国内で施行されます製造物責任法では、この研究開発及び技術革新について配慮しておりまして、研究開発及び技術革新を阻害しないようにするため、具体的には、製品引き渡し時の価格、または技術で欠陥が認識できなかったことを証明できれば免責をされます開発危険の抗弁や、中小零細企業の部品原材料製造業者が親企業の設計に関する指示に従って製造した場合の当該中小企業の責任を免除する規定などを定めているところでございます。  製造物責任法の施行に当たりまして、本県の企業は、これまで以上に製品の安全性の向上、表示、取り扱いの説明の充実など、製品事故の未然防止、再発防止対策が求められていることと考えておりますので、県といたしましては、高度技術情報化促進資金や新事業展開支援資金など、各種の融資制度や工業技術センターを中心とした技術相談、技術指導、技術アドバイザー派遣事業などを充実強化しまして、企業の新製品開発の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 77 横田委員 今、中国とか韓国あるいはベトナム、フィリピン、マレーシアへどんどんと企業は安い人件費を求めて海外シフトして行っております。そういったアジア、オセアニアの中でPL法を設定施行しているところはどこにもございません。どこにもないということは大変危険なことでもありますので、ぜひ早急に対応すべき必要があるだろうと思っております。  次に、今いろいろと物づくりの中に出てくる商品のことを申し上げておったわけでありますが、それでは、農林水産物における製造物責任というのはどのようにとらえていけばいいのか、農林水産部長にお聞きしたいと思います。
    78 堀田農林水産部長 製造物責任法の対象となりますのは製造物や加工された物でありますので、加工してある農林畜水産物についてはこの法律の対象となりますけれども、未加工の農林畜水産物、つまり加工してない一般の農林畜水産物につきましては、基本的には自然の力を利用して生産されたものでありまして、高度に加工された工業製品とは生産形態が著しく異なりますので、この法律の対象にはならないものと考えております。 79 横田委員 今ほど部長から申されましたことは、例えば魚の丸干し、あるいは干しシイタケ、そういったものは加工品でないと、そしてちょっと味つけしたみりん干しは製造物責任法を適用されると、そういうような意味だろうと思いますが、それじゃかつおぶしは何だろうかと、かつおぶしは製造物であると、いわゆる加工品であるというふうに理解されるわけであります。それはそれとして、私は一番心配するのは、私も過去にちょくちょくポストハーベストの件で質問をしましたが、日本とアメリカ、例えばアメリカからオレンジあるいはその他、お米もそうでしょうけれども、輸入すると、そのときに日本とアメリカの基準値の違う非常に危険なポストハーベストは、これは実は加工にならないと。当然そうだろうと思いますが、加工にならないということになっておるようでありますけれども、むしろ大変危険なことだろうと思っております。こういったことについて加工、未加工の境界が大変あいまいであるというようなことも現在のところ言われておりますが、ここですっきりとある程度消費者のだれでもがわかるように明確にする必要があると思いますけれども、この点についてどのようにお考えか、農林水産部長にお聞きしたいと思います。 80 堀田農林水産部長 今御指摘の加工か未加工かという問題は大変難しい問題で、この法律の中でも詳細に記述されていないところでございます。今言われたようにかつおぶしは干したものを削っただけではないかということ、例えばシイタケなど干しただけではないかと、品質を加工していないというようなこと、そういうようなことでなかなかあいまいな問題が食料品の加工、未加工にございますので、国では、具体的には個々の事例において、その製造物に加えられた行為など種々の事情を考慮し、社会通念に照らして判断されるべきものであると言っておりますので、申し出のようなはっきりとした県民に示すような基準がなかなか申せないという状況でございます。  しかし、後段の、保存のための薬液とかポストハーベストとかワックスなど、なお危険なものがあるじゃないかということでございますが、これは製造物責任法ではなくて食品衛生法のほうできちっと取り締まりますので、この件については既往の法律で対応できるのではないかと考えております。 81 横田委員 この加工、未加工の大変難しい判断でありますが、いずれにしても今ちょっとお互いに質疑を交わしても判断が大変難しいというのが製造物責任法であるわけでありますが、何分約20年ほど今日までかかってきたと、いろんな形が違うにせよ、この品質といいましょうか製造物責任について20年間ほど費やしてきたと、昭和47年以来ですから20年余り費やしてきたと、その中で一番こうなったという一つの理由は何なのか、もしわかれば端的に生活環境部長にお伺いしたいと思います。 82 炭谷生活環境部長 今おっしゃいましたように製造物責任制のあり方の検討につきましては、スモン事件とかあるいはカネミ油症事件など、深刻な危害の発生を契機に立法化を求める声が高まりまして、国におきましては昭和48年に国民生活審議会が製造物責任制度を含めて消費者被害の救済について審議したところでありまして、その後、消費者や事業者の製品安全知識の高まり、あるいはヨーロッパ諸国におきます立法化の進展の中におきまして、平成2年以降国民生活審議会や産業構造審議会等で本格的に法制化に向けて審議がなされ、これらを踏まえて先般成立いたしたものでございますが、この間20年を要しておるわけでございますが、これは責任要件を過失から欠陥へという民事責任ルールの変更につきまして、その必要性や社会経済に対する影響等について幅広い観点から論議され、社会的合意の形成に時間を要したものと考えております。 83 横田委員 一歩間違えば大変な事件につながるわけでありますので、大変長い歳月をかけての法制定の決定ということだと思います。  以上9点にわたっていろいろ事の重大さといいましょうか、少しその片りんが見えてきたような感じがするわけでありますけれども、どの分野にわたってもそれなりの大きな影響を及ぼすことは間違いないわけでありまして、この製造物責任法の施行に当たりまして、今後どのように対応していけばよいのか、基本的な方針をまとめて知事にお伺いしたいと思います。 84 中沖知事 製造物責任法は、製造物の欠陥によって生じる責任のあり方を根本的に改めるものでありまして、明年7月から施行されますが、各般の分野にわたり相当の影響があるものと考えられております。このために一般消費者、中小企業者など関係者に法の内容を十分周知徹底するよう努めること、また、国、地方団体の検査分析機関等の整備に努めるなど原因究明機能を充実強化すること、さらに中小企業における製品安全対策等についての相談指導体制を充実することなどが指摘されておるところであります。  このようなことを踏まえまして、国におきましては、新聞、テレビなどマスメディアによる広報、国民生活センターの充実強化、企業に対する専門家の派遣等による現地指導などに取り組んでいるところであります。  県におきましては、国と連携をとりながら、まず第1に、一般消費者や企業に対する説明会の開催など普及啓発に努めること、第2に、消費生活センターにおける相談員の資質の向上や商品テスト機器の整備充実を図ること、第3に、各種の制度融資や工業技術センターを中心とした技術相談、指導等を充実強化することなど所要の体制を整えてまいりたいと考えております。 85 横田委員 ぜひ期待していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、人口問題に移りたいと思います。  人口問題になりますと、私はちょっとこだわって、一面をとらえて質問しておるわけでありますが、今までは晩婚時代だというふうに質問したこともありましたが、今やもう非婚時代であると、結婚しないと、これからは晩婚から非婚だと。たしか去年の6月の予算委員会で晩婚時代云々と言っておりましたが、もう1年たちましたら非婚時代になってしまった。こうなると来年あたりはどういうふうな言葉を使えばいいのかなというふうに思っておるわけでありますが、未婚率の急増はまさしくそれを裏づけているというふうに思っております。生み育てやすい環境づくり、そして青年が十分青春を謳歌できる環境づくりも大変大事であるわけでありますけれども、何といってもやはり結婚しないことには人口が増えないわけであります。  特に今、我が国は、1人の女性が一生の間に出産する子供の数はいよいよ1.5人にまで下がった。そして、人口の現状維持が可能な出生率は2.08人ですから、もう完全に人口は下降の一途をたどっているというのが日本の現在であります。これは2年前の1992年のデータでありますが、そんなふうになっております。一方、スウェーデン、ノルウェーあるいはデンマークなどは、むしろ上昇しております。ですから、減少している国はイタリア、ドイツ、それに次いで日本が第3位に位置しております。ちなみに数字を申し上げますと、イタリアは1.29、ドイツは1.39、日本は先ほど申し上げました1.5というところまで落ちてしまっておるということであるわけであります。  いよいよ急激な高齢化社会がやってくるということは今や耳なれた言葉でありますが、65歳以上の高齢者が15歳未満の子供の数を上回るいわゆる逆転現象はいつになったらやってくるのか。大分先のような感じがするわけでありますけれども、何とこの逆転現象は1998年になるということであります。あと4年間後に、いよいよ65歳以上の方々は15歳未満の子供たちよりも上回ってしまうという現象になるわけでありますので、ゆっくりと考えるわけにいきません。時間がないわけでありますから、この問題の根幹をさぐる中で、それに対する処置がぜひ必要だろうというふうに思っております。  未婚率の急増は、今申し上げたように非婚時代の到来の兆しであるということを申し上げたわけでありますが、この現象を見てどのように考えられるのか、再度お聞きしたいと思います。 86 市丸企画部長 国勢調査によりますと、昭和50年ごろから未婚率はどの年齢層においても上昇してきておりまして、特に25歳から29歳までの女性の未婚率は、例えば本県におきましても、昭和50年の12.2%から平成2年には31.7%へとその上昇が際立っております。これはただいま委員も御指摘になりましたように、初婚年齢の上昇といいますか晩婚化に伴うものと見られておりますが、女性のいわゆる生涯未婚率、これは50歳時点で法律上の結婚経験のない人の比率をいうわけでございますが、この生涯未婚率につきましても、厚生省においては、今後上昇するという見通しが発表されておるところであります。そしてこれらの主な要因としましては、女性の高学歴化や職場進出の増加、独身生活を快適に過ごす条件が整ってきたこと、結婚しないことへの社会的圧力の減少等々いろんなことがあるものと考えられております。  一方で、この結婚への意欲に関しまして調査したものがございます。平成4年に厚生省人口問題研究所が実施しました──これはずっと継続的に行われておるものでございますが──第10回出生動向基本調査報告、結婚と出産に関する全国調査でございますが、これにおきましては「一生結婚するつもりはない」と言い切っている人たちが男女とも5%程度でありまして、5年前の調査からは大きくは変化しておりません。逆に「いずれ結婚する」とはっきり結婚の意思を表明している者は、態度不詳の者の増加などもありまして、今回すなわち平成4年の調査では男女とも90%ぎりぎりのところまで減ってきたとしております。  こういう状況ではありますが、この結婚の問題につきましては個人の生き方や価値観に深くかかわる問題でございますので、行政としましては、結婚や子育てへの意欲を持つ若い人々については、これを支えられるような環境づくりを進めていく必要があると考えておるところでございます。 87 横田委員 今ほど部長は晩婚化の原因になっておるという表現をされました。それから生涯結婚しないというデータもあまり変化がないというふうにおっしゃっておられますが、私の手元にある数字は1972年のものですけれども、「ひとり立ちできればあえて結婚しなくてもよい」と、これは女性ですが、これが13.1%あったものが、10年余り過ぎた1984年には30.4%まで伸びているということです。ですので、男女ともにこの伸び方はあまり変わっていない。男性もやはり2点何倍になっておるということです。  今のはある研究所のデータですが、今度は生命保険のデータでは、87年に結婚観についてという設問で「当然結婚すべきだ」と答えた人は63%、「あえて結婚する必要はない」と答えた人は37%と3人に1人であったわけでありますが、年がいくにつれて結婚すべきだという数字は高いんですけれども、若い人はだんだん低下すると、結婚意識が低くなるということでありますけれども、今、その数字が下降の一途をたどっておるということは、結婚すべきだと言った63%がどんどん下がっているという現象を起こしておるというふうに書いておるわけであります。  いずれにしても、私先ほど言いましたように晩婚から非婚であるというふうに思っております。そういったことで結婚しない理由として、今部長のおっしゃったようなまた違った原因があるんじゃないかなと思います。今日の結婚観の変化について、今度は生活環境部長はどのようにお考えかお聞かせ願いたい。 88 炭谷生活環境部長 結婚生活に求めるものといたしまして平成4年度の国民生活選好度調査というものがございますが、これによりますと、若い世代ほど一人前の人間として認められること、あるいは生活上便利になるということなどの社会的、現実的といいますか、こういった考え方よりも、精神的安らぎの場が得られることなどの精神的な面を求める傾向が示されておるわけでございまして、結婚に対する考え方が個人的な側面を重視すると、こういうふうに変化してきていると考えております。一方、独身生活が便利になったことによりまして、男女ともにやりたいことの実現が制約されることや、あるいは自由に使えるお金が減るといったようなこと等が結婚による不利益な点として挙げられておるわけでございまして、このように年代によります結婚観の相違が見受けられるところであります。  こうしたこともございますので、家庭生活の意義とか、あるいは男女が等しく家庭生活の喜びを分かち合う、温かい家庭を築くことの重要性を認識することが必要であるということの観点から、県といたしましても、新とやま女性プランに基づきまして、ニューパートナー講座あるいは啓発フォーラムの開催などといったような意識啓発事業にも取り組んでおるわけでございまして、今後とも、みのり豊かな男女協同社会づくりを進めていきたいというように考えております。 89 横田委員 時間も過ぎてきておりますので、次の少子化問題についてお伺いしたいと思います。  県のアンケート調査によれば、結婚して子供は3人持ちたいという希望でありますが、結果は2人しか産まないということで、思いと結果は違うということは数字に出ておるわけであります。私は少子化問題はあまり言いたくないんですけれども、これも反面進んでいって大変心配な問題であります。本当に3人希望しているのにどうして2人だけですかと聞くと、「どうしてもお金かかってね」というふうな言葉が一番最初に返ってきます。確かに費用はかかるわけでありますけれども、本当に費用なのかどうかなという疑問もあるような気がするわけであります。特に今の母親は、1人の子供を生んで育ててみたら「こんなひどいもんか」ということで2人目はこりごりだと言った母親もよく聞きます。いわゆる親として、家庭の主婦として、そして自分の人生の中で、子供にとってどういうような親としての責任を果たさなければならないのかといったことを本当にしっかりと考えておるのかどうか、その能力的なものも多分に問われるんじゃないかなというふうに思いますが、そのへんの原因について厚生部長はどのようにお考えかお聞かせ願いたいと思います。 90 三觜厚生部長 この種の関係でいろんな調査が行われておるわけでございますけれども、どの調査を見ましても、やはり6割から7割の方が子育てに非常にお金がかかると、特に教育経費が一番大きな負担感となっております。それで、1人目を育てるときの苦労と比べたら、2人目、3人目はそれほど苦労なく育てられるわけでございまして、こりごりだと思っている方はあまりいないんではないかと思うんですが、むしろ経済的な負担が子供を持つことに対する歯どめになっているんではないかというのが、どの調査からもうかがえるところでございます。 91 横田委員 厚生部長の奥さんはこりごりではないということで、何人のお子さんがおられるのかちょっとよくわかりませんが──。しかし、今の若い母親は子供をつくって大変苦労しておるようであります。こんなにものういものかなと、特にまた核家族化も手伝っておりまして、おばあちゃんとおじいちゃんがおらないということもあるんでしょうけれども、そういったことも多分にあるというふうに私は思っております。  私は人口問題を考えるときに、幾つかの視点があるわけでありますけれども、今急増している結婚しない男女、こういった現状は大きな社会問題であるということが頭から離れないわけです。それであえてまた質問したわけでありますけれども、これをぜひ原因を究明して対策を講ずることが、まず一番最初でなかろうかなというふうに思っております。このことについて知事さんはどういうふうにお考えか。これはもう社会問題である、これをやらないことには絶対に人口は増えないと、子供は生めないし少子化時代へ入ってくる、いよいよ晩婚か非婚時代であるという中で、どういうふうにとらえておるのかお伺いしたいと思います。 92 中沖知事 近年、結婚しない男女が急増してきておりますが、その背景につきましては、先ほど企画部長のほうからも答弁申し上げたところでありますので省略いたしますが、いずれにいたしましても、結婚をする、しない、あるいは子供を生む、生まないという選択は個人の生き方や価値観に深くかかわる問題でありまして、行政としての関与にはやはり限界があるのではないかというように思います。しかし、そういうことばかり言っておりますと、これまた大変な問題になってまいりますので、県といたしましてはいろいろ取り組んでいかなければならんわけでございますが、行政としては、結婚や子育てへの意欲を持つ若い人たちを支える環境づくりを進めるということが重要ではないかというように思っております。したがいまして、今後とも、子供を生み育てやすい環境づくり、あるいは子供を生み育てたくなるような環境づくりについて、いろいろな施策を進めてまいりたいというふうに考えるわけであります。  そしてまた、生活環境部長からも申し上げましたが、ニューパートナー講座などを通じた意識啓発事業や、若い男女の皆さん方の出会いの機会ともなり得る青年海外派遣事業などの各種の施策にも取り組んでまいりたいというふうに思っております。  この問題につきましては、経済的な問題あるいは精神的な問題、いろいろな問題が絡んでくるわけであります。今後県といたしましては、市町村と一緒に知恵も汗も出しながら取り組んでいかなければならないというふうに思いますけれども、今後、人口問題懇話会でありますとか、そのほかいろんな場を通じまして、いいアイデアもいただきながら、この施策を進めてまいりたいというように考える次第であります。横田委員はじめ、皆さん方の積極的なアドバイスもお願いいたします。 93 横田委員 それじゃ時間もまいりましたので、これで終わります。 94 北島副委員長 横田委員の質問は以上をもって終わりました。       藤沢委員の質疑及び答弁 95 北島副委員長 藤沢委員。あなたの持ち時間は60分であります。 96 藤沢委員 予算特別委員会もあと1人でありまして、私は10人のうちの9番目ということでありますが、県政の重要課題がそれぞれの立場で論じられておることに対して最大の敬意を表したいと思います。ただ、少しわびしく思いましたのは、この予算特別委員会で農業問題を取り上げる人がおられなかったのはなぜだろうかと。私の個人的な立場でありますが、いささかわびしく思ったのであります。重要でないからかな、いやそうでもないだろう。なぜだろうか。これは私に今、一つの疑問を残したのであります。    〔副委員長退席、委員長着席〕  私はこの間、富山に用事がありまして広大な射水平野を突っ走っておりましたら、どこかで見た人が耕運機の上に乗っておられまして、あらおかしいな、おれんとこのうちと大分離れとるがだけどもだれかなと思って見ましたら、体も大きいし、どこか自衛隊の戦車のような感じがしましたが、農林水産部長ですよ。私は、農林水産部長みずからが増産にいそしんでおられる姿を見たときに、ある意味の感動と、敬意を表したいんです。そして、ああそうだ、おれも貧農のこせがれとして生をうけてもう70年になる。小学校へ行っとるときは、100メーターから150メーターのはさの下の落ち穂を拾わなかったならば教科書を開くことができなかったことに思いをはせたのであります。みずから豚と鶏を飼いながらも、一片の肉、一個の鶏卵も食べることのできなかったあの当時の、昭和初期の農村の経営状態がしみじみと脳裏をよぎったのであります。  私は、20年間県政に参加をさせていただいた間で、堀田さんは農林水産部長の8代目でないかなということを今ここで思い浮かべておるんです。どの部長も非常に有能な方でございましたが、その方々にまさるとも劣らぬ堀田部長と、わずかな時間でありますが、少し農業問題に絞って論戦を交わしながら勉強させていただきたいなと、こういうことを思っているのであります。  前語りがちょっと長くなってろくなことがありませんが、まず最初に、知事さんに一、二点お伺いしたいのは、村山政権が誕生いたしまして、代表質問で村山政権の評価ということを問われまして、なんでこういうものを問われるのかなと私いまだにその理由がわからないんですが、これは自由でありますから別にとやかく申し上げるわけでもありませんが、答えもあんまり評価されておらなかったようであります。ただ、こういう状態の中で、あの変説語録と申しますか、聞いとっても、あれっ、あれっ、あれっ。週刊誌のタイトルを見ますと、「社会党よ、どこまで脱ぐの」というタイトルが私たちの目に映る。国民は皆戸惑っておる。これは否定できない現実なんです。  そこで、特に今度の発言内容はいろいろありますけれども、農業問題に関しては御承知のように、米の開放問題のときに、絶対に部分開放は許さないんだと。これは党を挙げて反対しておられて、農民もそれに大きな期待をかけとったことは事実でありますが、5日目には、これ以上反対を貫いても部分開放は変わらないから、あくまでも反対だが了解するという、いまだにわけのわからん答えが私の脳裏に残っておるのであります。  自衛隊合憲がいいとか悪いとかじゃなしに、こういう一連の変説語録の中で護憲政党として村山政権はこれでいいのだろうか、歯どめがかからないのじゃなかろうかと懸念を示す有識者が多いのでありますが、中沖知事はどういう所見を持っておられるか、一言お伺いしておきたいと思うのであります。 97 中沖知事 村山総理には、さきの国会における所信表明におきまして、新内閣を、時代の変化を背景に既存の枠組みを超えた新たな政治体制と位置づけまして、より国民の意思を反映し、より安定した政権を目指して、互いに自己変革を遂げる決意のもとに結集したものであると述べておられるところであります。  総理には、こうした考え方のもとで国内外の多くの緊急、重要な課題に取り組まれているものと思っております。ただ、率直に申し上げますと、これまでの党の基本政策を大きく転換されたことに驚きを持って受けとめたところであります。  いずれにいたしましても、外交、防衛問題や農業問題などをはじめとして、日本の進路を決める重要な課題が山積しておりますことから、総理には国民の声を十分反映されるとともに、強力なリーダーシップを発揮され、これら内外の重要課題に取り組んでいただきたいと思っております。 98 藤沢委員 それでは、もう1点知事さんにお伺いしておきたいのは、日本一のうまいコシヒカリをつくる米産県富山の7万農家。今は7万からぐっと下がっておると思いますが、昔から富山県7万農家という表現で通っておったのであります。この方々を代表して、農協中央会が絶対にガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意の国会批准は反対だという決議をされまして、新聞もそれを大きく取り上げて、この間テレビでは街頭デモ行進まで行っておられるのでありますが、もちろん知事さんも米産県富山県知事としてその行動には賛成されておると思いますが、その認識と、これに対してどういう具体的行動で対応されるのか、もし具体的にあったらお聞かせ願いたいと思います。 99 中沖知事 去る8月に国の農政審議会報告が公表され、この報告をもとに新たな米管理システムの方向など、国におきましてその具体化が検討されておりますが、過日の情報によりますと、国の役割が大幅に縮小されたものとなっております。そこで、これが実施されるということになりますと、米価の大幅な変動が懸念されるなど、本県の稲作農業に大きな影響を与えるものと極めて憂慮しているところであります。  このような状況の中で、農業団体におきましては、農業合意内容には反対であるという基本的立場を堅持しながら、日本農業の再建に向けて強力な政策の確立を政府、国会に対し求めたいとしておりまして、去る9月22日に、JA富山中央会、富山県生協連など8団体の主催による米輸入自由化の国会批准反対県民集会が開催されたところであります。  これまでも、良質米主産県として国民に対する食糧の安定的な供給に貢献してまいりました本県といたしましては、米の需給と価格の安定を国の責任において対応するように、あらゆる機会を通じて要望してきておるところでありますが、このような農業団体等の動きを強く受けとめ、米の需給と価格の安定を基本とした抜本的な農業農村対策の確立に向けまして、国に対して強く要望してまいりたいと考えております。 100 藤沢委員 基本的な質問はこれでやめまして、以下農業問題について個々に農林水産部長さんにお伺いをしたいと思います。  まず最初に、今日ただいまにおけるところの富山県の作況指数並びに今の全国の平均作況指数はどのくらいかから御質問したいと思います。 101 堀田農林水産部長 8月15日の作況については御案内なのだろうと思いますが、富山県が103、全国が105という指数でございます。それから、9月15日現在で調査しましたものは、あす、その作況が発表されることとなっております。私たちが8月15日以降の天候なり台風のぐあい等を勘案しますと、富山県では103と言っておった8月15日の指数よりもよくなるのではないかと考えておりますし、全国的な105についても台風26号が来ておりまして、九州・四国の遅い地帯にどういう影響が出るかわかりませんが、今、仄聞しておるところでは少し上にいくのかなという情報を聞いております。 102 藤沢委員 豊作で非常に喜ばしいことでありますし、米不足が一気に解決したということは、これは本当に一同喜ばにゃならんと思っています。  私は、ことしの2月議会を今振り返っておるわけでありますが、あの当時を思い出しますと、まさに平成の米騒動かとか、あるいはまた、長い行列に並んでおったが10分間ぐらいで米はもう売り切れたとか、一触即発の危機に直面しておるとかいろんな表現で報道されておって、私たち自身もある意味では一種の危機感を持っておったことは、これはもう事実であります。  しかし、私は2月議会で、これはマスコミが言うほど恐るべき事態の発生はないと言い切ったはずであります。そして、その理由は、何者かが、どこかの団体が、がさっと米を買い集めたんではなしに、これは外米に対する抵抗感と申しますか、外米は嫌だという日本人特有の抵抗感が、各戸の台所に2袋、3袋程度ささやかな米をためたために米がなくなった。だから6月か7月になったら必ず米が放出される、そう心配はないということを私は言い切ったことを記憶しておるわけでありますが、結局そのとおり、7月になりましたら私のうちに、「今、支所がコシヒカリの安売りをやってるんだと。あんたのところは農協を利用していただいておるからサービスとしてお電話しましたが、今なら安いやつあげますからどうですか」という電話がかかってきた。そうすると、これはいよいよやっぱりやったかと私はそう思ったんです。  ところがこの間、9月のいつかでしたか、スーパーへ行きましたら新しいきときとのコシヒカリが山ほど並んで、「皆さんどうぞコシヒカリ」という宣伝文句で書いてありましたが、だれ1人並んでいないんです。私はこれを見たときに、2月議会の、あの当時深刻な状況を思い浮かべますと、これは一体どうなんだろうかというある意味の不思議な気持ちが私の脳裏をよぎったのであります。  この間、五、六人のお年寄りが私のうちに来て話をしておったのを仄聞しておったら、「あんたのとこ、まだ幾袋残っておる」「わしんとこ、もう1袋やわ」「わしんとこまだ3つもあんが。なーん、うまい新米食べられんでよわった」と、こういう会話が耳に入ってくるんです。一体あの2月にマスコミが平成の米騒動といって騒いだことがどういうことだったんだろうかということを今しみじみと思い浮かべているんです。そういう状況の中に、今こういう状態になってきたでしょ。  これから農林水産部長と私は米の問題で突っ込んで議論をしてみたいと思うんですが、この間、いつの新聞でしたか、農水省米管理案というのが出ました。そして、計画流通制度を創設するということを政府がきちっと発表したんですが、この中で、計画流通米というのは政府の管理米と自主流通米。それから今までのやみ米は、やみとは言わなくなって計画外流通米というふうに位置づけて、もうやみ米を扱っても犯罪ではない。そこへもってきて、政府による国産米の買い上げは備蓄に限定する。政府の買い上げの国産米を備蓄に限定する。備蓄というのは、2月ごろ、米が足らない言うて騒いだ、ワーワー言うとるときにこそ備蓄の効果はありますけれども、今申し上げたとおり、まだ台所に2袋や3袋持って、新しい米食べられんでよわったという人がちまたにあふれているときに、これだけ豊作の報告がある。そうすると、政府の備蓄に限定するという言い方は一体何であろうか。ここに1つの疑問が浮かんできたわけです。  もう1つは、生産過剰への対応として、民間による調整保管制度というものを導入する考えだと、こういうことを計画流通制度の中でうたっておるわけですが、部長、これらを少し解説してみていただけませんか。私が今疑問に思っておることを2点ほど申し上げたんですが、これについてどういう御見解を持っておられるかということです。 103 堀田農林水産部長 まず最初に、この米余りの今になぜ備蓄かというお話でございますが、今語られておる備蓄というのは新しい米の管理制度で、8年米穀年度からやるのか9年米穀年度からやるのかまだ定かでありませんが、そのときからの備蓄というものの考え方を示したものでありまして、現在は平成6年の米穀年度、この11月から7年の米穀年度になりますが、そこのところの備蓄というものとは違った意味でないかと。そういう行く行くの備蓄ということで備蓄を持たなきゃならんというので、ことしは外米も、豊作だからあまり備蓄が要らないという問題とは多少違うのではないかと、かように思います。備蓄そのものは、基本的にその年々の豊作、凶作によって不足、安定を図るための備蓄であると考えております。  それから新しい制度において、政府米を備蓄に限ると。現在、普通流通というものは、自主流通米と政府米が買われておるわけですが、政府米はそういうものでなくて備蓄に限るということは、基本的な新しい米管理制度は、自主流通米を主体に流通をさせて、政府が間接管理をする。今までは直接管理、全量管理。今後、米の新しい方向は間接管理、部分管理だというようなことのために、備蓄については政府米のみで、ほとんどの食用、普通の流通は、自主流通米として流通をさせるということであろうと考えております。  それから、後に出ました民間による調整保管制度でございます。これも新しい制度の中で言われているものでございますが、備蓄そのものは、年間の豊作、凶作によるでこぼこを調整する幅でございますが、それは政府米の備蓄です。それと、民間の備蓄というもので、その量については今いろいろ検討されておりますが、現在、農業団体では150万トンとも250万トンとも200万トンとも言われておるものでございまして、それは備蓄の問題で政府と民間で備蓄をすると。そのほかに、例えばそういう計画どおりの作付面積で米をつくったとして、200万ヘクタールを作付した場合に、計画では1,000万トン平準年ではとれるという米が、例えば作況指数105になりまして1,050万トン生産された場合には、1,000万トンしか消費しないわけですから、この50万トンは備蓄ではなくて──備蓄というのは計画の1,000万トンの中に入っておりますから、それは民間で調整保管をして、その次の米穀年度にそれを回す。そうなりますと、次の米穀年度の作付計画は、その民間調整で管理されました50万トン分があるので、今度また生産調整を来年強化しなきゃならんというところにストックさせる制度でございます。 104 藤沢委員 部長、半分わかって半分わからんがでありますが、備蓄というのは最小限3年でも5年でもこたえればいいですよ。ともあれ2年目から3年目にかけると、変色してにおいがするといわれている。そしてまた、備蓄するほど米が過剰にとれた場合に備蓄の必要性がなくなるわけですよ。そうすると、ますます米が余る。においがする米が2年、3年後にだぶつくことは火を見るよりも明らかなんです。にもかかわらず、毎年米を入れかえるということを言っているんです。備蓄で使えばそれだけ消費されますが、米が過剰で備蓄の必要性がなくなった場合はストレートに余ります。そして1年入れかえということになりますと、米をどこへ持っていくがけ。これは部長としては本音でひとつ検討せんまいけ。米を持っていくところはないがですよ。焼き場へ行って燃やすか海の中に捨てるか、これはどうしようもないということが現実に出てきているんです。  私は数字的なことだけを主張するわけではありませんが、例えば、日本人は1,000万トンあれば食べられるといっているんですよ。それで、先ほど部長の報告では105でございますから、数字的には50万トンは過剰ということになります、そうなりましょう。それから今度は国会批准になれば精米にして37万何千トンか、これは玄米にすれば40万トンでしょ。これが嫌言うとっても入ってくんがですよ。いらん言うとっても入ってくんがです。6年たったらこれが80万トンになるんですよ。そこへもってきて昨年度の外国産米が余っているんです。私は80万トンから90万トン余っているんじゃないかというふうに仄聞しております。  そこで、今言うた105ならば50万トンが余ると。それで政府がいう作付自由ということになりますと、今減反が60万ヘクタールですね。そうすると、農民が、「おらっちゃ今度は米全部つくるぞ、そんなもん減反せんがや」言うてつくったと仮定しますと300万トン出てくるんです。そうなると恐るべき状態になるんですよ。肥料か何かにせんにゃならんような状態になると言ったってこれはうそじゃないです。こういう状態を想定したときに、部長はどういう認識を持っておられるか、ひとつ本音で聞かせていただきたいと思うんです。 105 堀田農林水産部長 現在の外国の余剰米を80万トンと仮定して、例えば豊作によるものが50万トン、それから来年の4月になりますと、部分開放による40万トンが入ってくるとします。そのほかに、いま1つ、ことしの米穀年度で、平年作であっても備蓄のために65万トンを生産するという思想で米をつくっておりますので、その65万トンも出てくるということになりますから、全体で二百四、五十万トンのものが米穀年度の切りかえ時に、在庫として残るのではないかと、かように思っております。  それで、今減反の問題がございますが、そういう過剰と、基本的に米づくりが日本においては過剰基調で60万ヘクタールなり67万ヘクタール減反しておるわけですから、やはり農家は米価を守り、生産体制を守るために計画生産をしなければならないということから、生産調整は計画的にやらなければならない。その中で、今240万トン余るものをどうするかにつきましては、政府は40万トンのミニマムアクセス輸入に伴う生産調整の強化は行わないと言っておりますから、40万トンについては加工米なり輸出米なり、新しい需要開拓になされるものだと考えておりますが、ことしの豊作に伴う50万トンのオーバーにつきましては、来年の減反調整に影響してくるのではないか。計画的には需要に応じた1,000万トンなりそういうものを生産するような体制で農家が調整していかなければならないのではないかと思っております。 106 藤沢委員 部長の所見は私も納得いくんですよ。ただ、今村山政権は、自主作付ということを言っているんですよ。私は、食管法が厳然と生きておれば、恐らく農民のほとんどは転作をやめて自由作付をやると思います。ところが今は食管法見直しの形で野放しのような形になりますと、政府は、口では農民の自由選択にしますよと言ってはおるものの、片方では、今部長の発言も私は理解しておるんですが、強制減反をやらなかったらどうにもならんのじゃないですか。そういうふうに思いませんか、部長。 107 堀田農林水産部長 今の政府の新しい転作につきましては、言葉では自主的判断に基づいて減反をしていただくということになっておりますが、政府が責任を逃れて農業団体なり農民にその運用を任せるということだと、こう思っております。 108 藤沢委員 農民に任せるというこんな無責任な発言というのはあるもんかねぇ。おまえっちゃに任すということをわかりやすく解説すれば、おまえら勝手につくったんだからどうにでもせいということになるんですよ。そうすると農民は一体どうしていいのか。ここらあたりは県の指導機関として、いわゆる政府の出先としてどうします。農林水産部は政府の出先ですよね。さあ、どうします。 109 堀田農林水産部長 政府の出先機関という意味ではありませんし、食管法の小売店の許可は事務委託を受けておりますが、その他についてはそうではございませんけども……。そういう政府の新しい米管理のシステムでは米どころとしては困る。だから需要と供給が安定するために国の責任をしっかりし、それを強化してくれということを申し入れておりますし、自由にやれといって野放しにするのではとてもやれたもんではないと。だから、減反なり生産調整参加者に対する政府米としての買い上げのメリット、それからその価格、全量というようなものについても今政府にいろいろと要望しておるところでございます。 110 藤沢委員 私は、ここが富山県農政の一番のかなめであり、一番大事なところだと思うんです。ともあれ、今の政府のやり方というものは、おまえらでちゃんと考えてやれ、あとは知らんぞというふうに野放し状態にするようなきらいがある。これは、もちろん政府の出先機関ではありませんから、ひとつ独自の力を発揮して、東北あるいはまた北陸の重要な米産県ときちんとした連絡会議を持つなり、何かの形で新しい取り組み方を考えて、今の政府の残酷で投げやり的なやり方について何とかしなかったら、これこそ、米不足の米騒動よりも、農民一揆は別の角度で起きてくるような気がするんです、これ、わやわやになりますと。そこへまた投機が入ってきた場合に、米の買いたたきが始まるでしょう。これは、2月の段階で議論したよりも、もっともっと深刻な問題がここ二、三年の間に来るんじゃないかと私はそういうふうに思うんで、農林水産部長はまだ当分その席におられると思いますが、これは土性骨を据えて全体で議論をしてこの難関を突破しなければならんと、私はこういうふうに思っております。  私は国会議員ではありませんから国全体のことを考える必要はないと思ってますが、富山県自体の農業はこれでいいのだろうかと思ったときに、今のような危機感を肌で感ずるのでありますから、このまま食管法の見直し、廃止の方向へ行きますと、富山県農政が新しい何かを考えて、恐らく農協が主導権を持つか、あるいはまた営農組合が主導権を持つか、それは別といたしましても農民自身が新しく考える道はやっぱり大まかに言って一つでしょう。それはいかにして転作をやるか、いかにして米の作付転換をやるかということになるわけですから、そのときに、「おまえっちゃやれ」と。げんこつだけではこれはやれませんぞ。これは何としても銭が必要になります。さあ、そのときの状況を今から考えて対策を立てねばならない。石川、福井はどうするか知りませんが、我が富山県だけは何かの形で考えておかねばならんと思いますが、やがてくるであろう減反政策の強制──強制といっても自発的な形をとるでありましょうけれども、作物転換などについてどうするのか。もしわかったら大構想を部長のほうでおっしゃっていただきたいと思います。おれならこうするというやつを。言ったことを必ずしも責任追及しませんから、訂正あえてはばからずでね。 111 堀田農林水産部長 温かいお言葉をいただきましたので、思いのほどを言わせていただきたいと思いますが、今いろいろ国に要望しておりますが、大きい流れはやっぱり変え得ないのではないかというのが、いろいろ要望しておる立場の者の実感でございます。何回も要望し、各県もいろいろ要望しておるけども、ほとんど農政の展開方向に沿っていろんなものが流れ、現在、与野党にいろんな詳細の政策調整がされておるということを聞きますと、やはり米は影響を受けるし、この国際環境の中では省力化をし、低コスト化を図らなければならないというのは米づくりの流れであろうと、かように思います。  翻って、その米づくりを主体としておる富山県農業、これは75%の総生産のシェアがございます。例えばこれが3割値段が下がったとすれば500億に落ちるわけですから、その米づくりの農家の方が省力化をして、経営は合理的に成り立つかも知れませんけれども、農業全体の総生産が下がるということは農業の退化でございますので、米づくりは、価格が下がるとはいえども中心に据えながら、おっしゃるように土地の有効利用を図って蔬菜、園芸、花き、畜産、こういうものの振興に組織もいろいろ支援しなければならないし、いろんな研究調査もそこへ力を入れて、将来の富山県農業を見据えた方向にしていかなければならない。そこで、私一人ではございませんで部全体、それから農業農村対策連絡会議もございますので、そこらに諮って中長期的な方向も踏まえながら、生産構造全体とアグロピア21の方向についても見直さなければならないのではないか。方向は、米を中心にしながら他の農畜産物の生産拡大に努めるべきでないかと考えております。 112 藤沢委員 そこで、部長に引き続いて知事さんに総合的所見でお聞きしようと思っておるんですが、富山県農政の最大の危機はもう目の前に来ているぞと。これに対して米産県富山はこういう考え方を持っているんだという、転ばぬ先の杖というわけでもありませんけれども、知事さんの基本的な物の考え方。それから、そのときは予算をがっちり組んで農水部と連絡をとりながら、あるいはまた農協と連絡をとりながら、そのときに対応する構想はこうだということを、大綱的にあればお聞きしたいと思います。 113 中沖知事 日本の農業、特に富山県におきましても農業は大変厳しい情勢下にあるという認識を持っておるわけでありまして、これからは県が農業団体、市町村などと一体となりましてこうした難局に立ち向かい、これを克服していかなければならないというように考えております。  そのための方法論といたしましては、関係県や関係農業団体等と力を合わせ、知恵も汗も出していくということが1つあります。それからもう1つは、やはり国に対して余剰になるであろう米の加工援助、あるいは備蓄の問題について適切な対策をとってもらうということが重要であろうというふうに思います。  さらには、これからの富山県農業のあり方の問題になってくるわけでありますが、県といたしましては、コシヒカリを中心にしたうまい米づくりを進めること、そしてその低コスト化を図ること、さらには、米以外の農作物につきまして付加価値の高い作物を栽培すること、足腰の強い魅力ある農業を確立していくこと、こういうことが非常に大事になってくるというように思うわけであります。私は、これからの富山県農業を考えます場合には、農協がもっと根本的に改革されて、そして農協を中心とした集落ぐるみでこれからの農業対策を進めるということが大事ではないかという感じがいたします。ばらばらの対策では思うようにならない。農協が中心になりまして、そして中核農家を含めた集落営農の体制をさらに強化していくことが大事ではないかというように思っております。  そういう意味では、今後富山県としては、もっとみんなが力を合わせて努力をするという、そういう農協を中心とした農業のあり方を検討すべきではなかろうか。それに対して市町村も支援をし、また県も県単独の事業なども含めまして積極的に支援していく、こういうやり方が望ましいのではないかというように思っております。  いずれにいたしましても、非常に難しい問題がたくさんあるわけでありまして、これからも国に対して要望するものは要望する。県といたしましても、県議会やいろいろな関係の皆さん方の意見を聞きながら、富山県の農業につきまして、これからもさらに発展するように頑張っていかなければならない。今が一番大事なときでありますので、私はこの際、富山県の関係のものは、みんな知恵も汗も出して頑張ると、こういうことが大事であるということを痛感いたしております。藤沢委員も大変農業の通でありますので、またいろいろ御教示いただきますと大変ありがたいと思うわけであります。 114 藤沢委員 知事さんの構想を聞いて、恐らく皆安堵しておると思いますが、何といっても緊急対策費はいつでも出すぞという姿勢をぜひ堅持していただきたいと思います。  最後に、農協合併について締めくくりたいと思っておるんですが、今大型農協合併が平成6年度、7年度に向けて行われておるんでありますが、この農協合併是か非かという論争は、それは個々別々にあるでしょう。だけども、生き残る方策の一つとして、農協合併が今行われておるのが現状であります。  そこで私が農林水産部長にお伺いしたいのは、合併問題の最大の障害。今のところは2つが成功したように聞いておるんですが、これから徐々に各ブロックで農協合併をやるときに、何が一番障害になるのか、御質問したいと思うんです。 115 堀田農林水産部長 現在の農協は大体一時的に合併を終えて、昭和30年以降、独自に経営できるような規模になってきたわけですが、現代的な環境からもっと合併しなきゃならんということで、9JA構想をもとに広域合併を自主的に進めるということで県も支援しておるわけですが、各農協によって地理的、営農的条件や組織、事業内容が異なりますので、合併の際に問題になりますのは、各農協間の財務格差の取り扱いをめぐる財務調整の問題がございます。割と裕福な農協とそうでない農協という意味でございます。  いま1つは、固定した債権の回収及び償却等の取り扱いに関します固定化債権処理方策について、やはりおのおの思いがあってまとまりにくいということ。  いま1つは、合併しますので必然的に役員数が普通3分の1なり4分の1に減ること。役付等についての張りつけと役員人事構成について最後もめるというようなことが、合併を進めるための直接的な障害でないかと考えております。 116 藤沢委員 確かにそのとおりでしょう。ただ、役員問題とか何とかというのは、昔の市町村合併で、今まで村長さんおったが、その後どうなるがぃというふうなことで一時問題がありましたが、これは話をすればわかる問題で、そう至難な技ではないと。ただ、やっぱり一番心配なのは財務格差の問題だろうと思うんです。金持ってる農協と持たん農協、悪いことしとる農協と悪いことしとらん農協、これが一番問題になるだろうというふうに思っておるんです。  合併というのは、人間でいえば結婚するのと同じですから、やっぱり相手の健康状態とか、病気がないかとか、経済力、銭少し持っとんがかとか、見よいとかみっともないとか、結婚の場合は家族構成を含めて仲人が真ん中に入って、なかなかきれいですよとか、結構あれで銭持ってますというふうなことをいろいろ言うて人間は結婚していく。農協合併も一番大事なのは何といっても健康であるかどうかという、これは財務内容ですよね。健全財政で運営されておるかどうか。ここが私は農協合併の一番の大事なところだろうと思うんです。  ところが、合併してから問題が起きておるというふうに聞いておる農協もあるわけですが、どうしてそうなったのかということになりますと、県に責任があるんじゃないかというふうに私は考えるんですよ。何が責任かということを私は申し上げますが、あなた方はちゃんと権限がありますから財務内容を調べるんです。ところが、その財務内容を、守秘事項だからこれは言えないんだという項目を前面に出して、そして後になって、これは大変なことやのうということになって、わやわやになっておるということも聞いておるわけですが、守秘事項ということについて、部長はどういうお考えを持っておられますか。 117 堀田農林水産部長 守秘事項だけでお答えするのは大変難しいわけでございまして、流れから申し上げますと、合併するに当たりましては、県または農協中央会に、中立的、公平な者にいろいろ財務内容を判定してもらうということをやっております。その中で債務が1類から4類に分類されて、普通の貸し借りをやっておる債務が1類でございます。2類は、少し滞りがちだが、注意すれば大丈夫な債務。これは取り損ないも一部あるぞというようなものが第3類。これはほとんど取れないのではないかというような財務を4類に分けております。  そこで合併をする際に、合併される農協間で合併協議会というのがまずつくられます。その合併協議会において財務内容の確認についての約束事をされた、その約束事に従って1類、2類、3類、4類と示すわけで、4類というものは、類の額は出ます。3類についても類の額が出ます。ただ、その額の中で、A氏に幾ら、B氏に幾ら、C氏に幾らというのはいろいろ都合があってお教えしてないということで、危険度はまとめてお示ししてあるので、その中で今度、もっとということになれば、合併協議会の中でもう少し詰められればそういうようなことは判明するのではないかと考えますけども。 118 藤沢委員 部長は上手に答弁なされましたけどもね、この一番問題になるのは、その単協の役員、まあ理事でしょうね、組合長かな、そういう人たちが、その貸した相手の名前、だれに融資したか。ここを県が守秘義務ということで言わないから問題が起きているやに私は理解するわけです。  それは確かに守秘義務でしょう。しかしながら、それを前面に出したために大変なことになっておる。時間がありませんから、私が今後直してもらいたいことを率直に申し上げます。それは、守秘義務だから県庁は間違っていることをしたとは思いません。でも、今これから農協合併という大義名分、錦の御旗を上げたときには、県だけが守秘義務の占有権じゃないんですよ。県職員だけが守秘義務という占有権を持っておるんじゃないんですよ。ただ話のうえではあいつに幾ら貸したとか、あるいはどこそこに何百万円貸したということは、それは言えません。でも、農協合併という大目標があった以上は、その守秘義務を一段下げるという表現は適切かどうかわかりませんが、農協役員というのは経営者ですから、その経営者にも細かい報告をしながら、Aという者にこれだけ金貸しとるがこれ大丈夫ながかとか、そういう守秘義務を農協経営者にまで負わせるという姿勢がなかったならば、ある農協のように大変な事件が今起きているんですよ。  今後は、これからまだ砺波方面や上市方面でいろいろ農協合併が進んでいくと私は思うんですが、今のような姿勢でやっとったらまたこの問題が起きてきますよ。ですから、守秘義務は県庁職員の占有物にせずして、相手農協の組合長を含めた理事諸君にも守秘義務を負わせる。ということは、Aという人に何百万円貸し付けしてあるが、これは取れるだろうか、こういう内容だぞということを詳細に報告をする。そして、それは自分のうちの会合とか自治会の会合でそういうことを言ったら大変なことになりますから、守秘義務を絶対に守ってくれよという責任を持たせて進めなきゃ、これからの農協合併に大変な問題が起きると私は思うんです。特に、なぜそれを私は言うかというと、農協の役員というのは地域においては顔役ですよ。県庁の職員でAという人の名前を聞いてもだれかわからんがです。ところが農協の役員というのは、その地方のある意味の顔役、ボスですから、あれに貸したがなら、あれは詐欺師的なブローカーみたいなもんであかんぞと。地域の人は知っているんですよ。そういう特典を生かして、県庁は、これからの農協合併に対しては、あくまでも守秘義務をこれから合併しようとする推進協議会というものの人たちに任せる。守秘義務を負わせる。そして細かく突っ込んでたたいていかないと……。  私はこういうことを聞いたんです。ある農協で、でかい穴あいて、今大変な事件に発展しとるんですよ。それ部長知ってんの。知らん人に言うてもわからんが……。あんたそれ知っとられますか。それだけ一遍聞いて。
    119 堀田農林水産部長 具体的には把握しておりません。知っておりません。 120 藤沢委員 知っておらんということになったら、これは言わんなんかもしらんねども、まあ時間がないから言われんわ。事件が起きておるんですよ。司直の手も入っているんですよ。いいですか。そういうことが起きるのはそこに問題があると、私はそこを言いたいんですよ。もしそんな場合は全体で責任を負わせる。そしたら、その農協がこう言っているんですよ。や、それはちょっこ取れんかしらねどのぉ、でかいともうけたからそれで穴埋めすんがやと。これは言語道断な発言。なぜかというと、商売してもうけて利益金があるかもしれん。これは組合員のもんですよ。穴あけた借金会社の金じゃないんです。そういう発想をその単協の農協が持っとるということを聞いて、県もそういうことを知ってるということを私聞きましたよ、正直な話。知らんと言わっしゃるが、部長の耳に入っとらんがかもしれません。早速調べて、一体どうなんだと。だから、そうなってもうけた金があるから埋めるわいということになりますと、これはもう大変な違反行為だと思うんです。農協の金というものは組合員の金であって、悪いことして穴あけたところに埋める金じゃないということだけは県はきちんと整理をして持っとらないと……。  これはその某農協だけじゃないんです。これから進めようとする農協がバブルで金の価値が3分の1から4分の1に下落しておるのも私は知ってます。そういうところがこれから問題になりますと、私は今から15年前のことを思い出すんです。毎日、新聞さ開きゃ、農協の不正が出てきておった時代があります。西本農業水産部長の時代に、そして、一応それは沈静化はしましたけれども、これからの合併についてはまだまだそういう問題が起こらないという保証はない。だから、部長がもし知られんがなら早速部下に、「や、こういう事実を藤沢は言うとったが、うそか本当か」と。うそついたら頭かち殴ってこいやというくらいの勢いで調べて、そして対策を立てて、そういうことの起きないようにしてもらいたいなと。  知らんと言わっしゃるから、これ以上言われんから要望しておきますが、守秘義務の問題だけについて、部長どうですか。そういう形でとっていただけますか。そうすれば私は納得するんです。 121 堀田農林水産部長 把握してないという問題からでございますが、某農協に負債が、4類のものがあって、そういうものが合併されてどう処分されておるかということに関するものであれば、そういうものが合併に際して不良債権はあったということは認知しておりますが、それは、穴があいて問題になっておるということは了知しておりません。  いま1つ守秘義務の問題でございますが、職務上のものについてはお話するわけにはいきませんけども、合併推進協議会というのは主たる役員がなられる。今、組合長とか副組合長とか専務とかそういう人がお互いの組合から出られて合併協議会をつくるわけですから、その中で決められた共通ルールに基づいて、いろんな守秘義務もありますし、ルール化されるわけでございますから、その合併協議会の運用についてのお話を、これから私たち守秘とともに勉強していきたいと思っております。 122 藤沢委員 もう時間がありませんからはしょりまして、最後に1点だけ質問して終わります。  それは、今農協合併がこのまま進んでいきますと、これは確かに強力なものになるでしょう。強力なものになりますが、今日の自由経済、金融自由化の中で本当に耐えられるだろうかという心配が一つあります。絶対耐えられるだろうか。私がある専門家に直接こういうことを聞いたことがあるんです。そしたら、こう答えが返ってくるんですよ。「や、これはのぅ、五、六年ぐらいなら大丈夫だろう。その後はわからんぞ」と。これは経済専門家ですよ。こういう発言を聞いたときに、私はぎくっとしたんです。部長、これに対して、経済専門家がこういうふうに発言しておるが、どういうふうに受けとめておられますか、簡単に一言。 123 堀田農林水産部長 かつての農協をめぐる環境からすれば、経済状況が大変厳しくなっております。だから合併もして合理化をしなければならないと。合理化だけによって大きくなったために生き残るものではなくて、合理化したための合理化されたものを再生産なり新しい発展に結べてこそ、労働生産性が上がり、収益が上がる。そういうことのためにこういう合併をするわけですから、そこをしっかり新しい農協も考えて努力していただきたい。そうすれば、いかなる厳しいときであろうが努力すれば生き残れると、こういうぐあいに考えております。 124 藤沢委員 それでは最後に、2分間ですから……。部長は今そういう御答弁なさったから、なるほどと思えば思えます。しかし、私はなるほどと思わないんです。どういうことかと申しますと、現実の問題を言いますよ。私は農協の組合員ですからね。  今政府が発表した米の生産流通システムに、農政審議会は市場原理を導入せいと言ってますね。市場原理を導入するんです。そういうことになりますと、米に今まで依存してきた農協組織の今までの独占的な地位が危ぶまれるのですよ。これが1つあります。これはわかりますね。大変な危険性が1つある。  2番目には、卸売業者たちが、20町歩、30町歩、50町歩つくっとる農家と直接契約する。こういうことがあり得る。そしてまた、特別の単位農協に、「おい、組合長、おまえんとこのあれ300俵ほど、それをおれが買う」と、こういうことが起きないという保証はない。そうすると、今までの生産・集荷という既得権がまたここで奪われてくるという懸念があります。  それからもう1つは、農家の受け取る米の代金は市中金利に回る。農協を通らない。そうすると、農協の信用事業というものに影響がこないという保証はないんですよ。こんなが、おら15ほど知っとんがです。そやけど、時間がないから言われんけど……。もう1つだけ言いましょうか。農協の農業機材や肥料は農民が買うんです。そうすると、「や、藤沢さん、あんたどこやらの会社の商社から買うたかちゃ、3割安いがぃね」。これが現実、農民の声として出ているんです。しからば、農協が今までそういうことをやっとったということは、恐らく経済連、中央会あるいは単協の手数料なんかがそういう形になると思いますよ。思いますけれども、こんなことがまかり通ったら、今言っただけでも4つの危険性があるんです。じゃ、このままいきますと、あなたが今言ったように、合併して強力になったから大丈夫だというのが本当か。それとも経済学者が言った、いやぁあと五、六年たつと難しいぞというのが本当か。これは映画の後編じゃないけど、後日の歴史の判断にまちましょう。これだけしか言われんが。今ゼロが出たからこれ以上言われんねけ。だから、そういうことで次回の予算特別委員会でまたこの継続論議をやりたいと、このように思っております。どうもありがとうございました。 125 沼田委員長 藤沢委員の質問は以上をもって終わります。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後3時08分休憩                     午後3時19分開議       東保委員の質疑及び答弁 126 沼田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  東保委員。あなたの持ち時間は60分であります。 127 東保委員 今議会の最後の質問者になりました。お疲れかと思いますが、しばらくよろしくお願いしたいと思います。  質問に入る前に、先日の新聞報道で横沢出納長さんが勇退されるということを知りましたので、まだ正式には提案されておりませんけれども、お許しをいただきまして一言質問させていただきたいと思います。  横沢出納長さんには、昭和25年4月県職員となられ、今日まで44年の長きにわたり県政発展のために尽くしてこられました。この間、生活環境部長、農業水産部長、総務部長、そして公営企業管理者などの要職を歴任され、平成2年10月からは出納長に就任され、4年間県の出納管理者として、資金の効率的かつ適正な運用、管理に手腕を発揮されまして、名実ともに知事さんの補佐役として中沖県政を支えてこられたわけでございます。また一昨年、ジャパンエキスポ協会の実質的な責任者である専務理事としてもエキスポとやま博を大成功に導かれたことは、皆さんもよく御存じかと思っております。  幸い、県政が非常に順調に推移しておりますのも、出納長さんの持ち前の明るくて温かいお人柄と、その仕事ぶりと情熱によるものだと思っております。皆さん方もそのように感じるんじゃないかと思っております。本当に長いこと、いろいろと御指導そして御尽力いただきましたことに対して、深甚なる敬意と感謝を申し上げる次第でございます。本当にどうもありがとうございました。  そこで質問でございますが、出納長さんが今まで県で培われましたいろんな経験を踏まえられまして、これからの富山県政につきましてどのようなお考えをお持ちか。あるいはまた、こういう言葉を残しておきたいということがございましたら、一言お話していただきたいと、こう思っておる次第でございます。よろしくお願いいたします。 128 横沢出納長 ただいま東保委員から、身に余る大変温かいお言葉をちょうだいいたしまして、本当に感激いたしておる次第でございます。  御案内のように、来る9月30日をもって任期が満了いたしますので、退職をさせていただきたいというふうに存じておりますが、本当に長い間、議会の皆様はじめ、また知事はじめ県の職員の方々に大変温かい御指導、御鞭撻をいただきまして、ちょうど30日をもって、あるいは務めを果たし終えさせていただくんではないかというふうに思っております。このことにつきまして、本当に厚く御礼を申し上げたいと思います。  それでただいま、今までの経験を踏まえて何か県政についてというお話でございますけれども、こちらに知事がおいでになりますし、県政について私が述べるというのは、大変僣越のさたでございますけれども、最後ということでございますのでお許しをいただきたいと思います。  戦後も50年たった今日でございますけれども、社会経済の変遷というのは大変目まぐるしく動いておりまして、県政を取り巻く環境も同様に非常に変化が著しいものがあるというふうに考えております。そういう中で、どういうふうに県政を進めていくかということになりますと、県民の皆さんの価値観というものも非常に多様化しておりますし、またその行政に対するニーズというものも非常に多岐にわたっているというふうに思っております。  こういう中でいかなる県政を展開していくかということは非常に重要な問題でありまして、県民の皆さんのニーズというのを的確にキャッチをいたしまして、そして21世紀を見据えた県民にわかりやすい立県のビジョンを立てながら、県民が夢と希望を持って生活ができるような、各般にわたる県政を展開していかなければならないというふうには思っております。ただ、知事が常々申されているところでございますけれども、地域づくりの主役というのは、やはりあくまでも県民の皆さんであります。そしてまた県政推進の担い手も県民ということであろうかと思っております。  ただいま御指摘ございましたが、ちょうど2年前のきょう、エキスポとやま博の閉幕の日でございました。そのとき、県民の皆さんには、博覧会を見るということじゃなくて、博覧会に参加をするというふうな形で非常に盛り上げていただきました。そういう県民がいろいろ参加をしていただくということが、あの博覧会を成功に導いたかぎではなかったかというふうに私も思っておるわけでございまして、同様の意味で、まさに県民の皆さんというのは県政推進の担い手であるということであろうかと思っておるわけでございます。そして、それをサポートし、コーディネートするのが県の立場ではなかろうかというふうにも思ったりするわけでございます。同じような意味でございますけれども、県民の福祉というのは、県から与えられるのではなくて、県民ともどもにそれをつくり上げていくものじゃなかろうかというふうにも感じたりするわけでございます。  かつて富山県が石川県から分かれて、ちょうど今年で111年になるわけでございますけれども、その当時は、富山県というのは非常に厳しい状態に置かれておったというふうに伺っております。当時の建白書を読みましても、富山県というのは河川のはんらんが非常に多くて、それを治めるために物すごく金がかかる。だけれども、石川県はそういうものには振り向いてはくれない。  それから、石川県の金沢というのは県都であるから学校も病院もあるけれども、富山県からははるかに遠くてそういうところへは行けない。あるいは診療を受けようにもなかなか受ける機会がないというふうな、そういったような県民の要望が分県、独立につながったんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。そうした先人の営々とした努力が、今日の富山県の基礎をなすものじゃないかというふうに思っておるわけでございます。  今日の富山県というのは、御案内のように住みよさということで全国トップのレベルに位置づけられておるということは、とりもなおさずこれは知事さんの力でありますし、また県議会の皆さん方の大変な御尽力によるものというふうに思っておりますけれども、と同時に、県民の皆さんが非常に力を尽くしてこの県づくりにいそしまれた結果でもあろうかというふうに思っておるわけでございます。  要は私は、そういう意味で県づくりというのは、言い古された言葉でありますけれども、県民の県民のための、そしてまた県民による県政を展開をしていく、いわゆる県民本位の県政を展開していくことこそが、これからの県政推進の大きなかなめになるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、今後とも、委員はじめ県議会の皆さん方、そしてまた知事はじめ県の職員の皆さん方に、県政の発展のために一層御尽力をいただきまして、さらに全国の雄県として富山県が発展をするように、私自身非常にこいねがう次第でございます。  簡単でございますが、答弁にかえさせていただきます。 129 東保委員 私は、横沢出納長さんとは委員会で何遍も一緒になりまして、いろんな思い出もございます。また、事業を積極的にやっていただくなど感慨も深く、語り尽くせないのでございますが、本当にどうもありがとうございました。ますます健康でいろんな面で活躍されますことを心から願いまして、お礼の言葉にかえさせていただきます。  それでは、通告しております諸問題につきまして質問に入りたいと思います。  まず最初に、国際交流についてお尋ねをいたしたいと思います。  富山県は、国際交流も非常に積極的に進めさせていただいております。実は、ことしの7月に自民党政調部会の商工部会の皆さん方とオレゴン州のポートランド市を訪問させていただきました。また、9月には韓国の江原道の道庁を訪問させていただいたということで、この2つの友好県州を訪問させていただきました体験を踏まえながら、人の交流、物の交流ということで質問させていただきたいと思っております。  まず最初に、人の交流についてでございますが、既に本県では積極的に国際交流を進められまして、青年の船から始まり、青年の翼、婦人の翼と国際交流を広められまして、ことしの10月にヨーロッパへ行かれますが、この方々を含めますと、青年団員で2,547名、そして婦人団員で515名、計3,062名の方が諸外国──北米そしてまたヨーロッパ、対岸の環日本海諸国を訪問されまして、ホームステイをしながら幅広い交流をなさってこられたわけでございます。そういう中で、中国遼寧省、そしてロシアの沿海州、アメリカのオレゴン州と友好提携をされまして、韓国江原道とも友好協力の議定書を交わされているという現在の状況でございます。  この4州に県の職員の方、また留学生の方を相互に派遣されまして人的な交流を深めておられますが、この人的な交流を毎年深められますことによって果実が大きくなり、将来には大きな成果が上がるものだと期待をしておるわけでございます。また、県の対策に対して高く評価をいたしまして、心から敬意を表するものでございます。  ただ先般、ことしの7月にオレゴン州に行きまして、総領事、あるいはまた県から派遣されております松井君ともいろいろ懇談した中で、オレゴン州の州知事さんが、富山県との友好県州のために、いわゆる実務団を派遣したいということで検討されましたが、その中で議会に予算要求をされたけれども、議会が通してくれなかったと。そして、この派遣のために民間の基金を集めて出発されたという話を聞いたわけでございます。それで、来年度以降につきまして、民間の基金が集まらなければ友好交流ができないんじゃないかという話も聞きまして、予算が伴わなければ国際交流もなかなか難しいというようなことを実感してきたわけでございます。  しかし、本県では国際立県プランを策定されまして国際協力に積極的に取り組まれまして、県単事業として積極的に予算計上され、そして各国との友好を深めておられます。私は、この姿勢に対しまして全面的に御支援申し上げるわけでございます。そういうことで、これから財政が厳しくなってもこの予算を減額されないように要望させていただきたいと思っております。  今、地方の時代といわれておりますし、国際交流の面におきましても本当にこれからが地方の時代ではないかと思っております。今、政府はODA等で巨額の対外援助をしておられますが、この一部を地方が担うべき時代に来たんではないかと思っております。さきの新聞報道にありましたように、ODAが商社等の談合疑惑があるということで、公正取引委員会の調査を受けておるという話も報道されております。そういう面からも考えまして、積極的に国に働きかけられまして、この国際交流に対する財政支援なり、あるいはまたODAの事業の一部を地方に移譲してもらうような働きかけを、ぜひしたらいかがかと思うわけでございます。  現在自治省の国際室長になっておられます前の総務部長の内貴さんが、先般、少しコメントされたのが新聞に載っておりましたのを見ましたんですが、その中で、「国際協力の指針、財政支援策を検討したい。国際交流の点では、富山県は先進県である」というようなコメントもしておられます。  そういう面を含めまして、知事さんがこれから国際交流に対して国に積極的に働きかけられまして、財政支援なり、あるいはまた国が行っている事業の民間移管をぜひひとつ働きかけていただきたいと思いますが、知事さんの所見をお伺いいたします。 130 中沖知事 これからの国際交流を進めるに当たりましては、各分野にわたる広範な交流を通じまして、お互いの地域の発展や活性化につながるような実質的な交流、協力を積極的に進めていくことが重要であると考えております。今後、富山県といたしましても、国際立県プランあるいは国際協力プランなどを積極的に進めまして努力してまいりますが、また、国に対しましても、地域の国際交流あるいは協力事業についていろいろと支援を要望していきたいというようにも思っております。  そこで、その内容といたしましては、まず第1に、現在国におきましては、地方団体の取り組みに対する指導助言及び情報提供等が行われており、また第2に、財政面では地方交付税制度においての財源措置、それから海外技術研修員の受け入れ事業等につきまして政府開発援助資金、ODA資金の対象とされているなど、いろいろと支援の措置があるわけであります。そこで、これからは地方がさらに自主的に使えるような財源の確保を図っていくことが極めて重要になってくるわけでありますが、このために、明年度の国への重要要望事項あるいは全国知事会等を通じまして、地方交付税措置の拡充、それから政府開発援助資金の幅広い活用などを国に対しましてさらに強く働きかけてまいりたいと、このように考えているところであります。  いずれにいたしましても、これから国際時代を迎えるわけでありまして、今後本当に人的交流などを中心としました実質的な交流、協力を進めていきたいと考えております。 131 東保委員 よろしくお願いしたいと思います。  このように表に出ます交流もありますが、現在、富山県に58カ国、5,890人の方が在住なさって、勉学にあるいはまた仕事に、そしてまた技術研修ということで生活しておられます。自治体の先見の明により、既に国際協力が静かに、しかも広がりを見せながら進んでいるというふうなこともございます。そういう面で、これからの国際交流というのは、お互いに理解し、そして尊重し合うという時代に生まれるのではないかと思っております。そういう面で、環日本海交流というものも含めまして、国際交流を積極的に進めていただきたいと思っております。  それでもう1つですが、先般、韓国の江原道の道庁を視察させていただいたときに、道庁の国際交流室長さんのお迎えを受けましてある部屋を御案内いただいたわけでございますが、国際交流室とでも申しましょうか、その部屋を案内していただきまして、江原道さんが過去にいろいろと国際交流をしてこられましたアメリカ、中国、カナダ、そして日本の国のいわゆる友好提携の議定書なり、あるいはまた、いただいたお土産等が整理されてきれいに展示されておりまして、またその部屋には各国の物産が陳列されておりまして、富山のコーナーがありまして大変感激して帰ってきたわけでございます。また、そのすぐ下の階には大きなレセプション用のホールがございまして、このホールでいろいろ御説明を受けたわけですが、その壁面が映写できる大きなスクリーンでありまして、ハイビジョンによるビデオが日本語で放映されました。大変すばらしいPRビデオでございまして、江原道のすばらしい自然、そして産業、文化を紹介していただきまして、大変感激してまいりました。ぜひ、本県もこのような対応の仕方を取り入れたらどうかなというふうに感じたわけでございます。  今、幸い、県庁の南館が改修をされております。これからも外国からのお客さんが増えてまいるかと思いますが、この機会にぜひ、その方々のためにも、あるいはまた県のこれからの国際交流のPRのためにもこのような部屋を設けたり、またそのような対応をしたらどうかと思うわけでございますが、それについてお答えをいただきたいと思います。 132 岡本総務部長 韓国の江原道の庁舎内に、約90平米のスペースでそのような国際館といわれるスペースがあることを承知しております。  私ども富山県といたしましても、県内外の人々に我が県が進めております国際交流を理解していただくために、展示室または交流室というものの設置は非常に重要であると認識しております。  御承知のように、既に県都の玄関口でございますJR富山駅前のビルの6階に、富山県国際文化センターとして、まず資料展示室として友好提携先のパネルや記念物品の展示を行う資料展示室、これが約107平米ございます。また、あわせまして県民の皆様と外国の方々との交流の場を持てますように、国際交流ラウンジというもの約55平米を既に設置して利用していただいておるところでございます。またこのほかにも、空の玄関口でございます空港の国際線ターミナル3階のレセプションルーム、あるいは県庁の横に付設してございます県民会館の交流ロビーに、今までの友好提携先の記念品等を展示しておるところでございます。今後ともこれらの展示室や交流ラウンジの一層の充実を図ってまいりたいと考えております。  なお、御指摘の県庁の南別館でございますが、先般もお答えいたしましたように、他の県庁に比べまして極端に狭い執務室を解消しようということで、現在のところは、改修はすべて執務室及び会議室に充てようということを考えておりまして、国際交流のための展示室を設けることは現時点ではちょっと難しいのではないかと考えております。 133 東保委員 例えば、知事さんの部屋あるいはまた部長さんの部屋を訪問された後、「駅前にありますから、空港にありますから見てください」というのでは、私はもてなす態度としてはちょっとどうかなと思いますので、またお考えいただきまして検討していただきたいと思っております。  それから、先般の梶議員の質問で、国際交流や国際協力の拠点となる施設の整備を検討すると答弁なさっておられますが、これについて、何か具体的な施策を考えておられるのでしたらお答えいただきたいと思います。 134 岡本総務部長 さきの一般質問でお答えいたしましたように、富山県国際協力プランの策定を進めておりますが、その施策の柱の一つといたしまして、県内で人材を育成する協力というものを掲げたいと考えております。この中の具体的施策といたしまして、国際交流や、今お話しになっております国際協力の拠点となる施設の整備を検討したいと考えております。  このプランは、今後の展開すべき施策の方向を示そうとしておるもので、具体的内容につきましては、今後まさに中長期的に検討しなきゃならない課題と考えておりますが、今私どもが内々に思っております腹案といたしましては、県民と外国の方が自由に交流交歓し、広く各国の情勢等にも触れることのできる国際交流会館的なもの、国際協力会館的なものを設置できないかというのが1点でございます。それからもう1点は、留学生や研修に来ていただいております研修員などが学び、研修することができる、例えば国際協力事業団の研修センターなどを本県に誘致することができないかということを内々に考えております。なお、今申し上げましたように、今後の展開すべき方向での検討すべきものでございますので、まだそういう腹案の段階ということを御了解いただきたいと思います。  なお、当然、このような施設整備につきましては、市町村あるいは民間の方々との協力も必要でございますし、国との役割分担ということも出てくると思いますので、このあたりも今後詰めてまいりたいと考えております。 135 東保委員 よろしくお願い申し上げます。  国際交流をいろいろ進めていくためには、足の確保ということも大事ではないかと思うわけでございます。一番多く利用されるのは飛行機でございますが、きのうも林委員さんが空港関係につきましていろいろ御質問なさっておりましたが、私は、国際交流を広める面から航空路の拡充整備が必要でないかと思っておるわけでございます。  ソウル便が昨年4月に開設され、そしてこの7月15日にウラジオストク便が開設されました。季節運航をされて来年4月から週2便ということで就航されますが、利便性が非常に増して乗客が増えるんではないかと思っております。あとは、本県の友好県省でございます遼寧省に航空路が開設されることを、一番これから望ましく、また期待もしておるわけでございます。  それで、先般の梶議員の質問だったと思いますが、大連便の開設に努力をしたいという答弁がございました。それで、ぶしつけな質問かと思いますが、この大連便の開設はいつごろになるのか、来年できるのか、もし開設の見通しがなかなか立たないとすれば、どういうハードルが待ち構えているのかお聞かせいただきたいと思います。 136 望月土木部長 県といたしましては、大連便を早期開設したいと思っておりますが、そのためには、日中両国政府、航空会社、遼寧省政府等の関係機関に対し、繰り返し同便の開設を要請してきているところでございます。  同便の実現は、日中両国間の航空交渉で合意に達する必要がありまして、必ずしも容易ではありませんが、県としては早期開設に向けて関係団体の協力を得て、チャーター便による実績づくりを進めるとともに、今後とも同便の必要性、有利性につきまして両国政府、航空会社等の関係機関に対し強力に働きかけてまいりたいと考えております。 137 東保委員 ぜひ来年開設できるように努力していただきたいと思っております。  それともう1つ、国際便も含めまして、国内便もこの11月には福岡便が開設するなど、富山空港も非常に便利になってまいりました。そしてまた日本人の皆さん方も、最近観光等で海外に出られる機会が非常に多くなっております。大体年間1,000万人の方が海外旅行をしておられるというふうに報道されております。本県の方々も全国並みに海外旅行をされるといたしますと、10万人の方が海外旅行をなさっているんじゃないかと思います。去年の4月から今年の4月までに3万3,554人の方がソウル便を利用されております。そのうち外国人の方が6,000人近くでございますので、日本人の方が2万7,000人ほど利用されております。全部が富山県人じゃないと思いますけれども……。チャーター便を含めますと、富山空港から大体1年間で3万人の方が海外に出ておられるんじゃないかと思います。あと7万人ほどの方が成田あるいは羽田あるいは大阪空港というほかの空港を利用されて海外旅行をなさっておるということになるんじゃないかと思います。  そういうことで、海外旅行をされる人のため、あるいはまた交流の足をもっと便利にするために、今度9月に開港いたしました関西国際空港に、富山からぜひ乗り入れる必要があるんではないかと、そういうふうに感ずるわけでございますが、この関西空港に乗り入れることに対してどのようにお考えか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。 138 望月土木部長 経済界をはじめ、県民からの要望の強い大阪便につきましては、伊丹空港と関西国際空港が考えられまして、関西国際空港につきましては、御指摘のとおり我が国の拠点空港であると同時にアジアのハブ空港であることから、関西国際空港への定期便が開設されれば、国内、国外各地への乗り継ぎが可能になりまして、富山空港の利便性が大きく向上するものと考えております。  県では、関西国際空港便を含め、大阪便の開設を航空会社等の関係機関に対し強く働きかけてきたところでありますが、航空会社におきましては、1つは、距離が短く、定期便就航の目安とされる500キロメーターに満たないこと。もう1つは、JRの特急が時間的にも料金の面からもかなりの競争力があることなどから、採算性に大きな問題があるとしておりまして、定期便の開設は当面困難であると思われております。  いずれにしましても、関西国際空港便の開設は非常に大きな意義を持つものでありまして、今後とも将来の開設に向けて要望をしてまいりたいと考えております。 139 東保委員 特に、来年の4月から週2便で運航されますウラジオストク便は、非常に大きな影響があって増えるんじゃないかというように思いますので、ぜひ努力をしていただきたいと思います。  次に、きのうの林委員の質問にもありましたが、15便体制になると騒音の問題があるということでいろいろ御苦労なさっておることを聞いておりますが、私は、これからまだますます富山空港の空路の開設が増えていくんではないかと、あるいはまた、新しい空路が開設されなくても便数が増えていくんじゃないかということで、将来、空港の施設が少し手狭になるんではないかという感じがするわけでございます。エプロンあるいは駐車場、そしてもちろんターミナルもそうでございますが、将来に向かっての計画を今のうちから立てておく必要があるんじゃないかと思いますが、どうでございましょうか。 140 望月土木部長 現在、富山空港に就航しておりますジェット機の便数は、東京便が6便、札幌便1便のほか、ソウル便が週4便であります。また、11月からは新たに福岡便が1便、さらに来年4月からウラジオストク便が週2便で本格運航される予定でありまして、これらを加えますと、日当たり最大で10便となる予定でございます。今後も国内外との航空ネットワークの整備拡充に努めることとしておりますが、15便になりますには、各空港間の競争や路線の採算性等の問題がありますことと、さらに国際線につきましては両国間の話し合いが必要であることから、15便の実現には時間を要するものと考えております。  将来ですけれども、15便体制になった場合の空港施設のキャパシティーにつきましては、駐車場につきましては、現在増設計画を進めておりまして、その計画によりましてほぼ対処できるものと考えておりますが、エプロンやターミナルビルなどは手狭になりまして、サービスレベルが低下することも予想されております。このため、今後航空需要や新規路線開設の動向を見きわめながら、将来的に施設の拡充整備を検討してまいりたいと考えております。 141 東保委員 ぜひ、将来を踏まえて、また新たな計画を立てていただくことをよろしくお願いしたいと思います。  次に、国際交流も人だけの交流ではいけませんで、やはり物の交流も必要になってくるんではないかと思います。  先日、オレゴン州のポートランドを訪問しましたときに、我々は州議員の方々へも表敬訪問したらどうかという話をしておりましたら、州議員の方々は大変多忙であって、単なる表敬訪問みたいにメリットのないものには時間を割かれないだろうという話でございまして、国際交流もやはりいろんな面の交易とか、あるいはまた企業誘致、投資など、ビジネスにある程度つながらなければ交流も深まらないんではないかということを実感させられてきたわけでございます。  そういうことで、富山県がフォーリン・アクセス・ゾーンに対しまして非常に積極的に取り組んでおられますが、今、例えばアメリカの太平洋岸から富山新港あるいはまた伏木富山港に入港するのも、横浜港に入港するのもほとんど距離的、時間的、そしてまた運賃的にも変わらないという話も聞きました。そういうことで、この対外交易も含めましてフォーリン・アクセス・ゾーンの誘致というのは、これから富山県にとりまして国際交流を広めるうえで大変大事ではないかと思います。  そういうことで、先般の代表質問でも質問されまして答弁があったわけでございますが、改めて質問するわけでございますけれども、この答弁の中に、施設の建設用地の確保が確実であること、そしてまた建設・運営に当たる第三セクターの設立が確実であることが必要だという答弁をいただいたわけでございますが、その見通しと、そしてまたこれからいつごろ国へ申請を出されるのか、商工労働部長にお尋ねいたします。 142 佐藤商工労働部長 富山県のFAZの今後の取り組みといたしましては、さきの代表質問においてもお答え申し上げましたように、国の承認を受けるために必要な要件といたしまして、今御指摘ありました施設の建設用地の確保が確実であること、それから施設の建設・運営に当たる第三セクターの設立が確実であることなどが求められているところでございます。したがって、これらの要件ができるだけ早く整うようにすることが重要であると考えております。  このため、官民一体となりましたFAZ推進のための組織を設置しまして、その中で建設用地の確保及び施設の建設に必要な財源の確保、さらに資本金の規模などについて協議を進め、第三セクターの設立を図りたいと考えております。関係団体、関係事業者、経済界などとこの点につきまして早急に検討を進めてまいりたいとしているところでございます。  県といたしましては、輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法、いわゆるFAZ法の施行期日が、当面平成8年5月までとなっておりまして、この時期までに第三セクターが設立され、施設の建設に一部着手することが求められているという要件もございますので、この期日、要件を十分念頭に置きまして、今後とも、関係者の方々と十分に協議をしながら、できるだけ早い時期に国へ申請をし、承認を受けて調整が図られるよう努めてまいりたいと考えております。 143 東保委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。富山県の近辺では小松空港が指定を受けているようでございますので、本県もぜひひとつ指定を受けられるように努力をしていただきたいと思っております。  それと、このFAZに関連いたしまして、本会議の質問にもございましたいわゆる超高速貨物船TSLの就航がこのFAZの誘致にとりましてもぜひ必要なものではないかと思っております。  そこで、このTSLの就航には、港湾の設備改良がぜひ必要でございますし、また、高速で入る船に対して速いというメリットを生かすためには、やはりこの荷役システムが速くなければその速さを享受できませんし、メリットが出ないと思っております。そういう面で港湾の改良、新設、そしてまた荷役システムも研究開発しなければいけないと感ずるわけでございますが、これらにつきましてどのような方針で臨まれるのか、土木部長にお尋ねをいたします。 144 望月土木部長 テクノスーパーライナーの実用化に当たりましては、高速性を十分生かした効率的な海陸一貫輸送システムを確立する必要がありまして、特に港湾サイドでは荷役の効率化、高速化を実現するための技術開発が重要な課題となっております。  このため、運輸省や関係団体では平成4年度から、従来の港湾荷役システムに比べて数倍の高速性を持ち、多様な条件に対応できる荷役システムのシミュレーション等を行ってきたところでありますが、今後は経済性も含めた高速荷役システムの検討を行うなど、実用化に向け、さらに研究開発が進められると聞いております。  また、テクノスーパーライナー誘致に必要となる岸壁や荷役機械等の港湾施設の整備につきましては、寄港地の指定を受けることが前提でありまして、指定に向けて強力な活動を進めるとともに、荷役システムの開発状況も見きわめながら、港湾施設や物流等について引き続き調査研究を行うとともに、平成8年度から始まる次期港湾整備5カ年計画の中で、伏木富山港におきましても整備が図られるよう対応してまいりたいと考えております。 145 東保委員 ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。  TSLの寄港地として指定を受けることが大事だという話を聞きました。そしてまた、これが寄港をされまして、いろんな物流が発達するためにもやはり背後の高速道路が必要でございます。大事でございます。そういうことで、本県の有利さを生かすためには関東、中京方面の結びつきがぜひ必要だと思います。そういう面で東海北陸自動車道の早期完成、そしてまた中部縦貫自動車道の完成がまたれるわけでございます。その中で今、富山県で一番問題になっておりますこの間の国道41号線の高規格化、そしてまた今まだ未整備の七美太閤山線の小杉インターへのアクセス、これにつきまして見通しはどうでしょうか。
    146 望月土木部長 国道41号の高規格化につきましては、この路線が高山市で中部縦貫自動車道に接続し、首都圏への最短ルートを形成することから極めて重要な路線と考えておりまして、富山-高山間が地域高規格道路に指定されるよう、岐阜県や同盟会等とともに建設省に対し強く要望しているところであります。  これまで全国から出された要望は非常に多いと聞いておりますが、現在、建設省では指定の具体的な手順や規模、時期等について検討されているところでありまして、現段階では本県の要望路線の指定について見通しを立てることは難しい状況にあります。  また、富山新港から北陸自動車道小杉インターへアクセスする道路といたしましては国道472号線がありますが、さらに委員御指摘の七美太閤山高岡線も重要な路線であることから、現在JR北陸本線との立体交差などの検討を鋭意進めているところでありまして、今後とも早期事業化に向けて努力してまいりたいと考えております。 147 東保委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  今、このTSLの誘致は、本県が環日本海の交流拠点として、一生懸命知事さんがこのTSLの誘致期成同盟会の会長として頑張っていただいております。私は、この伏木富山港が寄港地として指定を受けるためには、環日本海の中でやはり一番大きなライバルは新潟港、そして敦賀港ではないかと思っております。敦賀港は近畿圏──大阪、神戸、京都、そして中京の名古屋と非常に近距離にございます。それから、新潟は本県から見ますと京浜、東京地区に非常に近い。そういう点で伏木富山港は、北海道、九州便のフェリーなんかの動向を見てみましても、若干弱いような気がいたします。そういうところでぜひ本県がこのTSLを誘致するためには、やはり別の観点からアピールしなければいけないというふうに感ずるわけでございます。  特に、この三大都市圏と非常に等距離にあることと、あるいは九州、北海道とも等距離にあるというそういうメリットを生かす荷物の取り扱いを目指さなければならないというふうに感ずるわけでございます。大量の単品の輸送には、現在の敦賀とか新潟に負けるかもしれませんけれども、多品種の少量の荷物をまとめて分散するという、いわゆる宅急便方式が非常に有利ではないか。あるいは対岸諸国を相手にした宅急便関係みたいな形のもので、我々の伏木富山港がこれから非常に有利な荷物の取り扱いをしなければならないというふうな感じも受けるわけでございます。  そういうものを踏まえながら、ぜひこのTSLが伏木富山港に就航できるように、知事さんに強力に働きかけていただきたい。これが将来の富山県の輸送と物流の大きな発展のかぎを握っているような感じがいたしますので、知事さんにその誘致に対する取り組みの気持ちを、本会議でもおっしゃっていただきましたが、改めてお聞かせをいただきたいと思います。 148 中沖知事 テクノスーパーライナーにつきましては、新潟港、敦賀港をはじめ、全国の多くの港で誘致に向けて運動が進められております。本県といたしましては、伏木富山港が他の港にないすぐれた優位性を持っておるわけでありまして、こうした優位性を関係機関に訴えてまいりたい、このように思っております。特に北海道や九州の港湾との連携を強めながら、すぐれた伏木富山港の地位を強力にPRしてまいりたいと、このように考えております。  それからまた、従来から進めておりました物流適合貨物の調査研究につきましても引き続き幅広く進めていきたいと、このように思っております。  さらに現在、模型船が実験航海をしているわけでありますので、こうした模型船が伏木富山港へ寄港をしてもらうということにつきまして、これから積極的に働きかけてまいりたいと考えております。これがもし実現いたしますと、本県が進めております運動の機運を高めることにもなりますし、また県民の関心も一段と高まるものというふうに考えておるわけでありまして、関係の皆さん方と一緒に強力に進めてまいりたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、テクノスーパーライナーの誘致は本県が環日本海交流の中核拠点となるという意味におきまして、重要かつ不可欠であるというふうに思っております。今後とも県議会、市町村、経済界などと一体となりまして、一日も早い本県における就航実現に全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。 149 東保委員 力強い決意をいただきましてありがとうございます。本県の物流、そしてまた将来の対岸交易にとりまして、このテクノスーパーライナーの就航というのは大きなインパクトを与え、発展につながるものと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  時間がなくなってまいりましたが、次の質問に入らせていただきたいと思います。  日本海ミュージアム構想ということで二、三お聞かせいただきたいと思っております。  日本海ミュージアム構想は、海王丸を中心に非常にすばらしい整備をされておりまして、富山県の一大観光地となってまいりまして、年間70万人近くの方が訪れられると聞いております。最初の大阪との激しい誘致合戦で知事さんの持ち前のバイタリティーで富山県に誘致していただきまして、本当にありがとうございました。そして、今ごろは大阪市へ寄港していなくなるのでございましたが、昨年も知事さんはじめ、国会の先生方のお力添えによりまして本県に恒久展示されることになりまして、本当に喜んでいる次第でございます。  今、この海王丸も定期点検で10月から来年の3月までドック入りするわけでございます。最近非常にたくさんのお客さんがおいでになりまして、知らない方は、海王丸がおらんということにもなるんじゃないかと思いますが、この間の海王丸パークのにぎわいに対して何かお考えがありましたら聞かせていただきたいと思います。 150 市丸企画部長 ただいま御指摘のとおり、帆船海王丸はこの10月6日から来年の3月いっぱいまでドックに入る予定でありまして、海王丸パークでは一時不在ということになるわけでございます。  そこで、この海王丸パークにおきますにぎわいにつきましては、従来とも海王丸に加えまして、日本海交流センターやピクニック広場、さらには各種商業施設などが相乗効果を発揮して、家族連れをはじめとする多様な集客を確保してきたところであります。  こうしましたことから、県といたしましては本年7月、日本海交流センターに世界の帆船模型10隻を展示したところでありまして、海洋、海事思想の一層の普及を図るとともに、海王丸不在時の集客の一助にもしていきたいと考えておるところであります。また、来る10月27日には帆船日本丸の富山新港への入港が予定されておりますほか、産業海鮮まつり等の地元行事、あるいはまた子供向けキャラクターショーの開催など、にぎわいにつながる各種事業が実施されることとなっておるところであります。 151 東保委員 海王丸がいなくても新日本丸が来るということでございますので、よろしくまたお願いしたいと思います。  それから、この海王丸のボランティアの人たちに今帆を上げていただいておるわけでございますが、これは大体月に1遍ということで、旅から来られた方が、「ありゃ、帆上がっとらん」ということで寂しく帰られるのが多いと聞いております。やはり月に2遍ぐらい帆を張ってあげたいというふうな気持ちがございます。今現在、帆船ボランティアには356名の方が登録されておられます。男性256名、女性100名ということで少し高齢化もしているんじゃないかというような話もございまして、新たな若い人たちのボランティアの参加が求められているわけでございます。もちろん地元の新湊市もいろいろと積極的に取り組んでいるようでございますが、県におかれましてもぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。 152 市丸企画部長 帆船海王丸につきましては、「海の貴婦人」と呼ばれる優美な姿を県民の皆さんに親しんでもらうため、年間10回程度の総帆展帆を行っています。この総帆展帆に当たりましては、県民の幅広い層から応募されました展帆ボランティアの方々の御協力をいただいておるところであります。1回の展帆には90名前後のボランティアの参加が必要でありますが、委員御指摘のとおり、現在356名の方々がボランティアとして登録されております。本年度から海王丸が本県において恒久的に係留展示されることとなったことに伴いまして、意欲ある新しい人材の参加を得ながら、長期的な展帆体制を確立したいと考えておりまして、さらにボランティアの確保と育成を図っていく必要があると考えております。  こうしましたことから、今後は、財団におきまして実施してきた新聞、テレビ等を利用しました従来の募集方法に加えまして、企業、団体等の職場や大学などを訪問しての募集を行うなど、さらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 153 東保委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  時間もなくなってまいりましたので、4番は省きまして3番だけで終わりたいと思います。  3番は、この日本海ミュージアム構想の中に日本海博物館が構想されまして、2年ほど前からいろいろ検討されまして中間報告も出たと聞いております。しかも、この4月の機構改革で日本海政策課という新しい課ができまして、そこでいろいろ御検討をいただいておると聞いておりまして大変喜んでおるわけでございます。この日本海博物館は日本海ミュージアム構想の一番大きな核であり、そして目玉の施設ではないかと思っております。海王丸とタイアップしてこの施設ができることによりまして、一層の集客と、そしてまた感動を与えるんじゃないかと思っております。  そこで、この博物館の現在の取り組み状況と、そしてまたこの展示館に必要な資料の収集につきましてもいろいろとお骨折りをいただいておると聞いておりますので、その状況をお聞かせいただきたいと思います。 154 市丸企画部長 仮称でありますが、この日本海博物館につきましては、昨年8月基本構想報告書が県に提出されたところであります。この報告書におきましては、新たな環日本海文化の創造と育成を目指すことを基本理念とし、富山湾や環日本海地域の過去、現在、未来と各地域間のかかわりについて楽しく学べる新しいタイプの博物館とすることが提案されております。  本博物館の具体的内容につきましては、この日本海ミュージアム構想において整備が予定されておりますいろいろな施設との整合性を十分考慮し、より充実したものとする必要があると考えております。こうしたことから現在、博物館以外の民間活力を生かした施設等の整備に向けた取り組みを進めているところでありまして、その方向性もある程度見きわめたうえで博物館の基本計画を策定することといたしたいと考えております。  また、日本海博物館の展示資料につきましては、基本構想報告書におきまして、日本海や富山湾に関する自然、歴史、文化等について日本海学の殿堂にふさわしい内容のある各種資料の収集保管に努めることとされております。県といたしましては、平成3年度から学術論文等の文献調査を開始するとともに、平成5年度におきましては資料調査員を設置し、民俗分野における資料の情報収集に着手し、資料の所在調査や確認等の業務を行ってきているところであります。また、本年度に入ってからは、資料調査の対象分野を拡大しまして、民俗に加え、考古、歴史等の人文科学分野、生物、地学、海洋等の自然科学分野に関する資料調査員を委嘱し、現在18名の資料調査員により幅広い情報収集に努めているところであります。今後さらに資料調査対象分野の拡充なども図っていきたいと考えて思います。 155 東保委員 時間がなくなりましたので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。 156 沼田委員長 東保委員の質問は以上をもって終わりました。  これをもちまして本委員会の質疑は全部終了いたしました。委員各位におかれましては長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局及び報道関係の各位に対し深く敬意を表します。  これをもって平成6年9月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。                     午後4時19分閉会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...